生粋のプレーヤータイプが大組織の女性リーダーへ「遠くから見るからこそ見えるものがあった」【JBBF辻本俊子会長】




昨年6月、(公社) 日本ボディビル・フィットネス連盟(JBBF)初の女性会長に就任した辻本俊子氏。「女性リーダーの活躍」に注目が集まる昨今、業界を牽引する存在としての思いを聞いた。まずは会長として初年度のシーズンを振り返ってもらった。

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遠くから見るからこそ見えるものがある

――JBBF会長として最初のシーズンが無事に終了しました。
「各都道府県大会も含めて、昨年は出場選手数が大幅に伸びました。特にジュニア年代(23歳以下)の勢いはすさまじく、2026年度は大会を二日に分けて行わざるをえなくなるほど。同時に選手の競技レベルも着実に高まってきており、ボディビル・フィットネス競技がどんどん広まってるなと、あらためて実感する 1 年でした」

――会長就任は6月、JBBF主催大会が始まる直前でした。それまで専務理事という立場でしたが、もともと会長職への興味はありましたか。
「あまり考えたことはなかったですね。正直、私はどちらかというと現場で皆さんと一緒に動くのが好きなプレーヤータイプで、責任者となって全体を見るリーダータイプではないと思っていました。ですが、女子ボディビル(現在の女子フィジーク)選手としてこの業界に入り、引退後は審査員や運営を経験しながら、東京ボディビル・フィットネス連盟でも委員長や理事長を任されてきました。その中で少しずつ、さまざまな物事の取りまとめを行ったり、それを全国に発信したりする立場を経験させていただいてきたので、今は業界への恩返しという気持ちでこの職を務めさせていただいています」

――昨年から立場が変わり、大会への 携わり方は変わりましたか?
「変わりましたね。去年までは、何かあればまず自分が動き回っていましたから。細かいところまで顔を出すのが自分は好きですし、得意でもあったので。ただ、会長という立場になると、それではいけないと思うこともあります。何か一つの物事を細かく見るよりは、一歩引いて大会全体を見ていく必要がありますし、動き回ると見えなくなってくるものもあります」

――これまでとは違った学びのある年になったと。
「そうですね。任せるところは任せることも大切。遠くから見るからこそ見えるものもあり、その中で広く動きを見ながら、必要なところにフォローを入れていくのが大切なのだと学んだシーズンになりました。大会以外のところでは、外部とのつながりをつくったり、JBBFの良さを伝えて味を持ってもらうための発信に力を入れたりということもしてきました」

演出は派手に振り切ればいいとは思っていない

――会長になって特に取り組んだことは。
「これまでも進めてきたことではありますが、全国各地に選手が増加し、各地でJBBF傘下の地方連盟が主管する大会も行われる中で、JBBFの運営体制を整えつつ、審査基準や運営レベルを統一していくことです。どの都道府県の大会に出ても、選手たちが同じ基準の審査の下で競技に挑み、活躍できるようにしたいと 思いました。
同時に、アンチドーピング活動などのより専門性のある分野に関して、携わる方々の活動内容をもっと具体的に広めていくこと。それが集結することによってJBBF全体のレベルが高まっていくようにしたいですし、取り組みを外部に知っていただけるような活動はもっと発信していきたいと感じていた部分です」

――手応えはいかがでしょうか。
「一気に変わるものでもなければ、各地の大会の運営実態を調査するなど、土台に着手しはじめたばかりのものもあります。中長期計画として来年以降も続けていきたいことは理事会の中でも発信していますし、継続して進めていきたいと思います」

――今年のJBBFの大会で大きく変わった点として、日本選手権における演出面が挙げられます。7月の東京ボディビル選手権でまずは取り入れ、日本選手権でも継続したという形でした。
「『JBBFのステージはおとなしすぎる、地味すぎる』というのはずっと言われてきたことで 、変えていかなければならないという気持ちは持っていました。なので、まずはどれくいの金額でどれくらいのことができるのか、探ることからスタートしました。
検討を進める中で、本当にたまたまなのですが、東京連盟の加盟ジムの会員さんの中に、舞台演出を手掛けている業者の方がいらっしゃったんです。その方とお話しする中でさまざまな提案をしていただき、まずは東京選手権で試してみることになりました。具体的には、ステージの床を黒くし、大型スクリーンを導入し、カラフルな照明やフリーポーズをとったときのスポットライトなども取り入れてみたところ、非常に好評をいただきましたね」

――これまでの大会とは別物だと感じるほどでした。
「とはいえ、とにかく派手に振り切ればいいとは思っていません。JBBFらしさを残しながら、予選は競技性を重視して最低限に抑えて審査をしっかりやる。決勝になったところで選手や観客の皆さんの気持ちをグッと盛り上げる、という狙いです。ステージに立った選手からも「気持ちが良かった」という声を多くいただき、彼らが生き生きと輝いている姿を見て、やはり必要なことなのだと実感しました。今年も取り組んだことの中では成功の1つだったと思います」

――今年は東京選手権からの、東京で開催した日本選手権だったため実施できたのではないかと。来年は大阪での開催ですが……。
「見ている方の期待値は確実に高くなっていますし、やはり日本最高峰を争う大会ですので。継続していく方向で検討しています」

(続く)