筋肉をつけながら痩せるための食事とは?【管理栄養士が本気で回答】




筋肉をつけつつ減量したい――そんな望みを叶えるためには、どのような食事をすればいいのでしょうか。管理栄養士の山田賢児さんに話を聞きました。

2014年、ボディコンテスト出場時の写真

【動画】筋肉と健康のための「筋育栄養学」特別講義

人生初のボディコンテスト減量から学んだ、現実的な食事戦略

私は2014年10月19日、東京都内で開催されたフィジークのコンテストに出場しました。これが、私にとって人生初のボディコンテストです。

その約2週間後にはBEST BODY JAPANにも出場し、結果的にこの2大会が、私の最初で最後のコンテスト出場となりました。

コンテスト出場を決めたのは約1年前、2013年のことです。当時の私はランニングのしやすさを重視した体型で、大学時代に箱根駅伝に出場していた頃の体重は約57kgでした。コンテストに向けた増量前の体重は、62〜63kgほどだったと記憶しています。

そこから約9か月の増量期と、約3か月の減量期を経て、人生初のコンテストに挑むことになります。

この記事では、「筋肉量をできるだけ落とさずに減量できた一例」として、私自身の体験と実データをもとにお話しします。

減量期に入る際、参考にしていたのはアトキンスダイエット(低糖質ダイエット)をベースにした方法でした。体重が一気に落ち、見た目の変化も早いというメリットがあります。

実際、減量開始と同時に糖質をオフしたところ、体重は急激に減少しました。しかし同時に、体力やトレーニング中のパフォーマンス、集中力の低下を強く感じるようになりました。

「このままでは筋肉も削れてしまう」と判断し、糖質オフは早い段階で中止しました。

その後、増量期から一貫して重視していたのが、糖質の摂取量とタイミングです。とくに意識していたのは、低血糖状態を作らないこと、そしてトレーニング前・トレーニング中に糖質を補給することでした。当時は、糖分を含むドリンクを飲みながらトレーニングを行なっていました。

筋肉を増やすためには、刺激(筋トレ)、エネルギー(糖質)、材料(タンパク質)。この3つが揃う必要があると考えているからです。

減量中のタンパク質摂取量は、体重1kgあたり約1.5gを目安に。ビタミンも摂取

減量中のタンパク質摂取量は、体重1kgあたり約1.5gを目安にしていました。トレーニーの中には体重1kgあたり2g以上を摂取する方もいますが、私は管理栄養士としての学びを実践する意味もあり、あえて過剰摂取は行ないませんでした。

私が重要視していたのは、血中アミノ酸濃度を低下させないことです。消化吸収の早いプロテインドリンクと、消化に時間のかかる肉や魚の食事を組み合わせ、血中アミノ酸が枯渇しないよう摂取のタイミングを調整していました。

グルタミンなどの特定アミノ酸サプリメントは使用せず、「食事+プロテイン」で完結させています。

そして、減量期に欠かせないと感じていたのが、ビタミンB群です。ビタミンB群は、糖質・脂質・タンパク質、それぞれのエネルギー代謝や生合成を助ける補酵素として働きます。

不足すると、エネルギーがうまく作れない、筋肉合成の効率が落ちるといった状態になりかねません。そのため、食事に加えてマルチビタミンのサプリメントも活用していました。

当時の生活リズムは、朝8時に家を出て、帰宅は深夜12時〜1時という毎日でした。帰宅後に食事をすることも多かったですが、夜の炭水化物は控えめに。コンテスト2週間前からは、夜のご飯は基本的になしという調整を行なっています。

ただし、低血糖による筋分解を防ぐという観点から、少量の糖質は「むしろプラス」と捉えていました。

脂質については、揚げ物や天ぷらは避けていましたが、鶏もも肉や胸肉の皮などは普通に食べていました。脂質は細胞膜の材料として不可欠です。極端に制限することは、長期的には逆効果だと考えています。

減量時に食べていたおやつのドライフルーツやナッツ

コンテスト直前はささみ肉を多く選びましたが、これは栄養面だけでなく、「ささみを選んでいる自分=仕上がってきている」というメンタル面のスイッチとしても活用していました。

炊いた玄米200gとおかずの弁当(山田さんの母作)

ここまで読むと、「コンテスト向けの特殊な減量」と感じるかもしれません。しかし一般的には、体脂肪率10%を切れば十分な減量成功例と言えます。

私は結果的に6%まで落としましたが、そこまでいく必要はありません。最後に、筋肉を減らさない減量で最も重要なことをお伝えします。

それは大前提として、筋トレをすることです。筋肉は刺激に対して順応して増えます。刺激がなければ、基本的に増えることはありません。人間にはミオスタチンという、筋肉の増えすぎを抑制する仕組みがあり、負荷がなければ筋肉量は維持されません。

減量中に筋肉を減らしたくなければ、筋トレは必須です。これは例外のない事実だと考えています。

ここからは、私の実際の体組成データをもとに補足します。

【減量開始時 → コンテスト直前の変化】

体重:70.55kg → 63.75kg(−6.8kg)

体脂肪率:16.5% → 6.0%(−10.5pt)

脂肪量:11.65kg → 3.85kg(−7.8kg)

筋肉量:55.85kg → 56.80kg(+0.95kg)

山田さんの減量記録(2014年)

体重は落ちている一方で、筋肉量は維持〜微増しています。この結果から分かるのは、落としたのは「体重」ではなく「脂肪」だということです。筋肉を守るための食事とトレーニングが、きちんと機能していたと考えられます。

まとめると、筋肉をつけながら痩せるために大切なポイントは、「糖質を敵にしない」、「タンパク質は量よりタイミング」、「ビタミン・ミネラルを軽視しない」、「脂質を極端に避けない」、そして「筋トレを続ける」ことだと思います。

これらは、特別な人のための方法ではありません。「健康的に、筋肉を保ちながら痩せたい」という方にとって、ひとつの現実的な参考になればうれしいです。