いまどき年齢で物事を測ったり、括ったりすることなどナンセンスだとは百も承知だが、それでもプロスポーツの選手やアスリートたちになると、わずか1歳の違いが大きな差を生んでしまったりもする。ケガからの復帰となると、若いときとは同じようにいかないものである。
女子プロレスラーの翔月なつみ(しょうづき・なつみ)は今年の2月で37歳になった。いわゆるアラフォーである。とはいえ、リング上でのキビキビとした動きやスピ―ディーなレスリングスタイルからは、まったく年齢を感じさせない。だったら、年齢なんて関係ないじゃないか、となるのだが、昨年、彼女は切実な問題に直面してしまった。

【写真】アラフォーにして現役プロレスラー 翔月なつみフォト集
それは肩の負傷による長期欠場。正式な診断は『肩関節唇損傷一部剥離骨折』。右肩の関節脱臼によるもので、昨年6月に欠場を発表したのだが、ちょうど彼女が所属するマリーゴールドが「マット界のアイコン」岩谷麻優の電撃移籍や、「プロレス界の人間国宝」高橋奈七永の引退などでビッグマッチラッシュとなり、不調を感じながらも無理をして出場し続けた結果、症状を悪化させてしまった。
その時点で36歳。手術をすれば復帰の目が見えてくるとはいえ、その後のリハビリなどを考えると、最低でも半年間の欠場が必要となる。年齢を重ねるにつれ、肉体が回復する能力は低くなる。逆に1日練習を休めば、若いときと比べて、体力が失われていくスピードは速くなっていく。つまり、欠場期間が長くなればなるほど、復帰するのが大変になってくる。
「正直な話、引退を考えたときもありました。たしかに年齢的に考えても厳しい部分はありますし、病院側と意見が食い違ってしまったこともあって、手術をするタイミングがちょっと遅くなってしまって、その時点でもう復帰の時期が遅くなることはわかっていたので……」
年に一度の両国国技館大会には復帰が間に合わず、大会ポスターから写真すら消えた。手術は成功したものの、その後のリハビリが思うようには進まず、年内復帰の可能性も消失した。
「肩が痛くて仕方なかったんですよ。最初は肩を動かさなければ大丈夫だろう、と思って下半身のトレーニングから再開しようと思っていたんですけど、ちょっとジャンプしただけで肩に響いて痛いんです。だからランニングもできない。それどころか肩が上がらないから洗濯物すら干せない。そうなんですよ、日常生活にも支障が出ていました。
最初はリハビリしながら、できる限り、試合会場に顔を出そうと思っていたんですけど、仲間たちの試合を観るのが辛くなってしまって……本当に復帰できるかどうか不安になってきて、もうプロレスの情報にすら触れなくなった時期もありました」
まさにそのタイミングが引退を考えた時期、である(3月3日、朝7時10分公開の#2に続く)。
