「このまま終わるのは絶対に嫌だ」一度は引退した彼女が、36歳にしてリングに戻った理由




じつは翔月なつみは一度、引退している。

かつてスターダムに所属していた翔月なつみは、宝城カイリ(現WWEスーパースターのカイリ・セイン)とのコンビでタッグ王座に輝くなど、大いに期待されていたのだが、腰を痛めてしまい、一度も防衛戦を行わないまま王座を返上。その後も回復せずに引退を表明することになるのだが、復帰戦も引退試合も行なわずにリングを去ってしまったことは悔恨として残っていた。

写真提供/マリーゴールド

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プロレスへの夢は断ち切れず、数年間のブランクを経て、現役に復帰。2024年5月にはマリーゴールドの旗揚げに参画し、初代スーパーフライ級王座を獲得するなど、最前線で活躍してきた。

「せっかくプロレスラーとして復帰したんだから、今度、辞めるときには明るく元気にリングを降りたい。このまま終わってしまうのは絶対に嫌だ……その想いだけで復帰を目指してリハビリしてきました」

多くのマリーゴールドの選手たちのボディーケアを手伝っているNISHINO SALONのセラピスト・JUNさんも翔月なつみのリハビリを間近で見守っていたひとりだ。

「手術した部分の拘縮を気にしていたので、右肩から腕にかけて。しっかりと温めて、硬くなった部分の緊張をほぐすような施術を行ないました。あとは病院でのリハビリではやらないようなことも、翔月選手の反応を聴きながら、そのときの状態に合わせたオーダー施術も。あとは心身のバランスですよね。それは翔月選手自身もかなり気を遣っているようでした」

一時は試合会場に行くことすらできないでいた精神状態は、リハビリの進行とともに徐々に前向きになっていった。

「ひとつは飼っている猫の存在ですよね、ペットが与えてくれる癒しって、本当に大きいんですよ。何度も救われました。それと小川さん(マリーゴールド代表・ロッシー小川氏)が私に会社の事務仕事を振ってくれたりして、団体の中に居場所をつくってくれたのもありがたかったですね。それまでは「もし治らなかったら引退するしかないのか……』と深刻に考えがちでしたけど「最悪、復帰できなかったら団体のフロントとして、みんなを支える仕事をしていくのもありかもしれない』と前向きに考えられるようになりました。もちろん復帰することが目標だったけれど、そういう考え方ができるようになって、気持ちにも余裕が出てきましたね」

一度、引退した女子プロレスラーが『二度目の引退』の影に怯えながらも、再起を賭ける36歳での挑戦。その過酷な日々は年をまたいで、2026年のお正月にようやくひとつのゴールを迎えることとなった(3月4日、朝7時10分公開の#3に続く)。