プロレス解説者の柴田惣一さんが、実体験をもとに数々のエピソードを紹介していく連載「柴田惣一のよもやま話」。初回はこの季節ならではの「花粉症」についてのお話。
何の前触れもなく滴り落ちてくる鼻水。鼓膜が破れてしまいそうなクシャミ。悲しくも嬉しくもないのに目じりに流れる涙。痒くてたまらない両目。いがらっぽいノド……花粉症に苦しんでいる人は多いのではないか。
「今年の花粉の飛散量は前年の2倍、3倍……」と毎年のように繰り返される予報。いったい、どれだけの花粉が飛んでいるのだろうか。
屈強なプロレスラーといえども、花粉には勝てない。ケガをしないように体を鍛えることはお手のものだが、注射や薬で花粉症と闘っても、なかなか効果がないのは変わりない。
「花粉症」という言葉が世間一般に通用し始めたのは、いつ頃からだろうか。「花粉症」などと言わなかった頃から、今、思えば謎の不快な症状に苦しむ人は確かにいた。プロレス界でも変わりない。
“進撃の大巨人”石川修司も苦しめられていた。コロナ禍の前から「マスクが手放せない」と特大サイズのマスクを愛用していたが、さすがにリング上でクシャミをしている姿は見たことがない。
ここは発想の転換だ。あえて我慢せず「ジャイアント・くしゃみ」(大きなクシャミで、相手を吹っ飛ばす)は、いかがだろうか? ただただ苦笑いするばかりの石川だが、この季節にはいけるはずだ。
試合中は集中しているプロレスラーたち。リングに上がる前に思う存分、鼻をかみ、薬も飲み、花粉症を感じさせないが、SNSでは惨状を訴えている者もちらほら。よい花粉症対策を募集中ということだろう。
花粉症という言葉がなかった頃から、レジェンド外国人選手も往生していた。1968年の初来日から90年代まで、日本で大活躍した故“狂犬”ディック・マードックも「春に日本に来ると、クシャミが出てかなわない。鼻炎なのかな、目もかゆい。何なんだ」と、ぼやきまくっていた。

マスクの着用を勧めたが、乗ってこない。当時の米国ではマスクをする習慣がなかったのだろうか、花粉の攻撃をひたすら耐えていた。
エキストラ出演したCMでも、撮影時にクシャミが止まらなくなってNGを連発してしまった。鼻をすするのは、マナー違反とする文化もあってか、ひたすら鼻をかんでいた。
鼻を赤くしていたマードック。今思えば、花粉症だったのだろう。「(花粉症は)荒くれ馬よりもタチが悪い」とでも、言いたかったかも知れない。
花粉症という言葉を聞くだけで、鼻がムズムズしてしまう。力自慢のプロレスラーたちもお手上げだが、特効薬の出現を祈るしかない。(敬称略)

