パワフルファイトの原点は“林業” 筋肉隆々なワイルドクイーン・ZONESの生い立ち




プロレス解説者の柴田惣一さんが、実体験をもとに数々のエピソードを紹介していく連載「柴田惣一のよもやま話」。今回は、肉体美とパワフルなファイトで観客を魅了する女子レスラー・ZONES選手の原点について。

写真提供/ZONES

【写真】野性味あふれるZONESのワイルドフォト

「WILDクイーン」として大暴れしているZONES。3月末をもってEvolutionからフリー戦士となり、ますます活躍の場を広げている。

鍛え上げられたボディから人間離れした怪力を発揮するファイトは魅力たっぷりだが、その源はじつは伐木パワーである。

北関東の代々続く林業一家に育っている。小さいころから山に入り、父たちと山に親しんできた。

成長すると林業作業師の資格を取得。チェーンソーなど重機を自由自在に操って木材を切り出していた。活躍の場は栃木・日光連山だった。

腰の入った姿勢、常に臨戦態勢のファイティングポーズの土台は、山を歩き回り、木材を伐採し、雑草を刈るなど地道な作業で自然に出来上がった。基礎体力があり、体幹が強い。まさにナチュラルパワー。

山で暮らしていたある時、ボディビルに目覚め、格闘技の魅力にハマってしまう。森林を相手にしてきたが、自身の肉体、そして人間がターゲットになった。

体を鍛え上げながら、ムエタイ、柔術……闘いに打ち込んだ。そしてロード・ウォリアーズ、スティーブ・ウィリアムス、リア・リプリーらパワーファイターにあこがれるようになる。

ボディビルでは地区のコンテストで優勝するなど、鍛錬の結果も出している。プロレスラーになって4年。様々な団体に参戦し、いろいろなファイトスタイルを経験。経験値を上げ、日に日に成長している。

写真提供/ZONES

得意技のひとつが「伐木ラリアート」。自身のルーツを大切にしている。加えて相手の全身を絞り上げる「筋肉熱帯雨林」などを駆使して暴れ回っている。

決め台詞は「筋肉熱帯雨林にようこそ」。まさにWILDクイーンだが、その素顔はじつはMILDクイーンなのだ。

趣味は読書。中学生の時に「赤毛のアン」シリーズを読破している。現在は幻想的な作風で知られる恒川光太郎の大ファンで「いろいろと頭に描いていると、時間があっという間に過ぎている」と楽しげだ。

何かと考えを巡らせながら歩くのも大好きで、2~3時間の散歩も欠かせない。「散歩しながら、頭でプロレスしています」とほほ笑む。どうやら技やら対戦相手やらのこと、はたまた試合の組み立てなど、歩くことでZONESの脳、さらに全身は活性化するようだ。そしてリラックス効果も絶大。季節を感じながら、移り行く花鳥風月を感性に変えているのだろう。

ラッパー「CHOUJI」の音楽に身を任せ、入場テーマ曲はグリムスパンキーの「NEXT ONE」。ヘアスタイルはアニメ「スラムダンク」に登場する女子マネジャー・彩子を意識している。

礼儀正しく、温和で優しい。卒業したEvolutionでお世話になった諏訪魔、石川修司に「わがままを受け入れていただいた。お世話になりました」と感謝を忘れない。

時折見せる、はにかんだ笑顔。リング上のワイルドと素顔のマイルドのギャップが魅力的だが、家業の伐採業がすべての原点といえそうだ。(敬称略)