2018年にNHKで放送され、ネット界隈をざわつかせた「みんなで筋肉体操」。同年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされた「筋肉は裏切らない」を生み出した番組であり、コロナ禍での自宅トレ需要の高まりの中でブームを加速させた。そんな筋肉体操の最新作が、この度、公開された。監修及び出演はもちろんこの方、当初から“筋肉指導”を担当し、現在は順天堂大学スポーツ健康科学部の谷本道哉教授だ。
――順天堂大学のYouTubeチャンネルで新作公開となりました。誕生の背景は?
「ここ最近、世の中全体に排他的で差別的、そして利己的な考え方が広まっている…そんな空気になっているように感じています。もっと明るく前向きな社会になってほしい。そのために自分にできることはないだろうか?と、何かせずにはいられない気持ちになりました。強く元気なカラダになれば、心のゆとり、心の豊かさにつながり、そしてゆとりができれば寛容で利他的な思考になるかもしれない。あ、それって筋トレでできるじゃん!これが自分にできることかなと、筋トレ動画のコンテンツを発信することにしたわけです。カラダ元気に!ココロ豊かに!筋トレや運動にはそういう力があると思っています。経済力も大事と思いますが、強い元気なカラダ、体力も大事です」
――プッシュアップ、スクワット、レッグレイズの3種目ですね。
「『やるか、すぐやるか!』。すぐ取り掛かるために執行できる大学の予算が、僕個人の研究費の年度内予算の残額で、その額で作れる動画の本数が3本だったので、自重筋トレの基本の3種目にしました。今後さらに広げていきたいと考えています。動画を制作する上で、ベースとなる考え方は、筋肉体操を初めてつくった当時から一貫しています。家でもどこでもできる種目であること、レベルダウンの方法を示して誰でもできるようにしていること、前向きに取り組んでいけるように声掛けをすること。この部分は変えていませんし、これからもずっと大事にしていきたいです」
――「筋トレはみんなのもの」というコンセプトは保ちつつ、最後に「+α」として、レベルアップ種目が付いたのは変化の一つですね。先生がいつも以上に楽しそうにやっているのもあり、これまでとの違いを感じます。
「ドラゴンフラッグや、空中でつま先をタッチするプッシュアップジャンプなど、高難度ですが、できるとすんごく楽しい(笑)種目です。大学のチャンネルでの掲載ということで、おそらく順大入りを目指す高校生を中心に、さまざまな方が見てくれるのではないかと思っています。こういうのを見ると、『よし、やってみるか』と楽しみながら真似して挑戦してくれるんじゃないかな? 自重でも強い負荷をかけられることを示す種目ですし、部活仲間などときゃっきゃ言いながらチャレンジしてくれるといいなと思っています」
――出演されているのは、ゼミ生の方ですか?
「はい。僕のゼミには筋トレ好きなフィジカルエリートが集まっているんですよ。順大にきて勉強すれば、こんなに高い身体能力が身につくんだ!と思ってくれたらいいかなと。また、この+α種目は、僕自身が超楽しんでやってることも大事なポイントかもしれませんね(笑)。やっている自分が楽しくないと、見ている人にその楽しさは絶対に伝わらない。筋トレは、真剣に向き合うほど楽しく取り組めるというメッセージを、声掛けも含めて伝えられたらと思います。そして、ココロ豊かになってもらえたら嬉しいですね」
(続く)
【プロフィール】
谷本道哉(たにもと・みちや)
1972年、静岡県出身。大阪大学工学部卒業、㈱パシフィックコンサルタンツ勤務を経て東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。順天堂大学スポーツ健康科学部教授(筋生理学、トレーニング科学)。『筋トレまるわかり大事典』(ベースボール・マガジン社)、『スポーツ科学の教科書』(岩波ジュニア新書)など著書は多数。NHK「みんなで筋肉体操」「筋肉アワー」「ニュースーン」、テレビ朝日「モーニングショー」などで運動の効果をわかりやすく解説する講師としても活躍。座右の銘は「人は変われる」
インタビュー/木村雄大

