ちょこまか動いて引っ掻き回す ルーキーレスラーが見出した、小柄な体で闘う術




5月31日に大阪ベイタワー・アトリウム広場で開催された『港区プロレスまつり』。これは地元出身のマスクウーマン、フライング・ペンギン選手が主催するイベントでなんと入場無料。試合だけでなく歌やモノマネなどのプログラムもあり、その音を聞いた人たちが「なにかやっているよ」と会場に集まってくる。

【写真】151cmのルーキーレスラー・山崎裕花

なんといっても巨大な商業施設の中にある会場で、弁天町駅とも直結しているので、まったくプロレスに興味がない買い物客や駅を利用している通行人までが、イベントの音につられてリングサイドへと誘われていく。

向かい合っただけで体格差は歴然。はじめての男子選手とのシングルマッチで山﨑裕花が立てた戦略とは?

もちろん熱心なプロレスファンも駆けつけてはいたけれども、初見のお客さんにわかりやすい試合を、ということなのか、この日のカードはすべて男女混合マッチ。その中で唯一のシングルマッチとして組まれたのが山﨑裕花と石川将也(道頓堀プロレス)の一戦。身長151㎝の山﨑に対して、石川は171㎝。体重も20㎏以上違う。男対女という前に、とてつもない体格差があった。

この日に向けてコンディションを整えて、作戦を練りたいところだったが、山﨑は4日連続で試合が組まれていて、この日が4連戦の最終日。ハードスケジュールの中「少しでも体力をつけようと、昨日はお米を2合、食べてやりましたよ! おかずなしで米だけです(笑)。まぁ、そうは言ってもパワーでは絶対にかなわないので、先手、先手で攻めていきます。相手が技を狙ってきても、一瞬のスキをついて切り返すとか、とにかくちょこまか動いて引っ掻き回していきますよ!」と意気込んだ。

接近戦では力でねじ伏せられるが、立体戦ならば……浪花の狂犬が地元の空を舞う!

逃げ場のないシングルマッチだけにゲリラ戦を挑むしかない。その作戦は見事に当たり。距離をとっての立体的な闘い方で大善戦。最後は男子のパワーの前に敗退したが、その健闘ぶりは通りすがりの一見さんにも届いたようで、場内は大きな拍手に包まれた。

試合後のマイクも立ち上がることができず、突っ伏しながら声を絞りだすことしかできないほどのダメージを負った山﨑は「ひとつひとつの技が重くて……』と悔しさを滲ませたが、対戦した石川将也は「まったく物怖じせずに突っこんでくるのでびっくりした。さすがは浪花の狂犬ですよ」と、その闘いぶりを絶賛した。

約1年のキャリアの中で初となる男子選手との一騎打ちを経験した山﨑裕花。現在、マリーゴールドのリングには100㎏級の外国人選手が参戦中。そういった選手と闘うときに、きっとこの日の男子選手に弾き飛ばされ、叩き潰された経験が役に立つはず。いつか浪花の狂犬から「世界の狂犬」に飛躍するためのステップをこの日、山﨑裕花はちょっとだけ踏み出した。