「生きてるだけですごいのに…」90歳のボディビルダー金澤利翼「毎年皺は増えて体力は衰える。それを努力してクリアしていくのが私の生き様」




8月30日に開催された日本ボディビル・フィットネス連盟(JBBF)主催の「第38回日本マスターズボディビル選手権大会」の85歳以上級に出場し、見事に優勝を果たした金澤利翼(かなざわ・としすけ)。今回で17回目のマスターズ優勝、2度の日本選手権優勝と合わせて19度目のタイトルとなった。

【フォト】90歳でも元気ハツラツな金澤のボディ

大会前日には90歳の誕生日を迎え、人生の大台に乗った金澤。大会後、メディアのインタビューに応じた。

――今大会の勝因は。
「審査員が決めることだから、それは私からは言えません。だけど、やっぱり筋量があってきれいな身体が勝つのがボディビル。私は全然きれいじゃないですよ、もう年をとってますから。オーバーオールに出た選手、みんな大きいでしょ?」

――昨日に誕生日を迎えて90歳に。良い誕生日プレゼントになったのでは。
「自らがね(笑)。ありがとうございます。ここで2位になったらどうしようかと思って、そういう不安もあったよ。でも予定通りいって良かった。やっぱり人間は、いつまでも辛抱して頑張らなきゃいけないということを今日で学びました」

――フリーポーズの選曲は。
「世界遺産のテーマ曲ね。本当は別の曲でやろうと思っていたんだけど、世界遺産を見て、これはおじいさん用にぴったりだと閃いてコロっと変えたんです。とにかく間違いないように気を付けました。おじいさんだから、間違えることがあるんですよ」

――得意の中腰のポーズも2回。
「そういうところも、やっぱり勝つためのポージングだったと思う」

――自慢の腕もしっかり見せて。
「規定ポーズのフロントダブルバイセプスを最初にやってね、これで大きな腕をガバっと出した。審査員の皆さんもね、90歳でこんなに大きな腕なんだと印象をつけられたのでは」

――90歳になっても挑戦を続ける理由は。
「人生は一度しかない。お金もないから、死ぬまでたくさんの名誉と記録をつくりたい。最終的には、いつも言っている130歳まで生きるというのは無理だと思うよ。さんまさんも、私が『130歳まで生きる』って言ったら無理だと言った。確かにその通り。でも、今は、フランス人の女性の122歳が世界記録。だから123歳でいいんだ。片岡鶴太郎さんは、1日1食の生活で125歳まで生きると言っていたと、誰かから聞いた。だったら私は130歳、負けたくない。人生で負けたくないという気持ちがずっと続けてこれたから、今回は19回の日本一になれた」

――次の目標は。
「このまま、皺が少なかったら93歳までボディビル。皺をつくらないように努力しますよ。93歳まで現役を続けられたら、今度は世界の大記録をいっぱいつくりたい。それが私の生き方として正解でしょ」

ーー金澤さんにとってボディビルとは。
「私の人生でしょうね。一生、このために私の人生を輝かしいものにしてみたい。もう90歳で一人ぼっちだよ。ご飯をつくったり、掃除をしたり、洗濯したりするのも全部一人。でも、全然おっくうじゃない。私には、やらなきゃいけないという目標があるから。世のおじいさんやおばあさんも、目標を持って人生を過ごしてもらいたい。その模範でありたい。1年1年、皺は出てきて体力も衰えてくるけど、それをどういう風に努力してクリアしていくかが私の生き様です」

――今年はまだ大会に出場予定。
「9月23日のジャパンオープン選手権のミックスドペアボディビルに出場しますよ。いま練習しているところです。これも全国大会ですから、優勝できたら嬉しいですね。あと、11月にスペインでIFBB世界選手権もありますから、機会をいただけたらいきますよ。90歳の私が、60歳以上級のクラスに出場するわけです。これも誰もやったことがない大記録。そういう記録の人生でありたい。サンキューベリーマッチョです」

文・写真/木村雄大