VITUP!編集長・佐久間が全国のパーソナルトレーナーさんを巡っていく「パーソナルトレーナー百人斬られ(仮)」。今回登場するのは滋賀県大津市のLikeパーソナルジムの店長を務め、都内でも活動をしている江見亮輔トレーナーです。鍼灸師の資格を持ち、治療家としての一面も持つ江見トレーナーの歩みを紹介していきます。
江見亮輔トレーナーは「その時間で笑顔をつくる」をモットーに、パーソナル指導に励んでいます。基本的にトレーニングは身体的にはきつい部分があり、成果が出るまでには時間がかかるもの。それでもパーソナルに来たお客様が笑顔になることをつねに考えていると言います。
そんなモットーを持つ江見さんは、両親の影響で、早くから「将来は医療関係の仕事に就きたい」と考えていました。中学入学後から野球に取り組むと、整形外科にお世話になる機会が増え、スポーツドクターを視野に入れるようになりましたが、大学進学時に方向転換します。より深くスポーツに関わる仕事として、スポーツトレーナーを目指すため、滋賀県のびわこ成蹊スポーツ大学へと進学しました。
「比較的早い段階から医療系、できればスポーツに関わる仕事をしたいと考えていて、スポーツドクターや体育教師という考えもありましたが、最終的にはスポーツトレーナーになろうと思って、現在はこうした形で仕事をさせてもらっています」
大学でも野球部に所属していた江見さんは、4年時には選手兼トレーナーとして活動。学生でありながら、トレーナーとしてのはじめの一歩を踏み出しました。その後は大学院に進学し、コーチングやトレーニングについての見識を深めていく一方で、夜間は鍼灸の専門学校にも通い、鍼灸師の資格を取得。国家資格を手にしたにもかかわらず、「鍼灸師を仕事にする考えはまったくありませんでした」と笑います。
「鍼灸師を仕事にしようとはまったく思わなかったんです(笑)。まずはスポーツトレーナーが第一で、何かあったときのために資格を持っておこうかなくらいの感覚でした。大学院の頃から野球部のトレーナーをさせてもらっていたこともあって、鍼灸の道に行く選択肢はありませんでした」
鍼灸の専門学校卒業後、江見さんは母校のトレーニングルームの管理の職に就きます。野球部のトレーナーと並行しつつ、他の競技の選手のトレーニングも指導するようになっていきました。
「スポーツと関わる仕事をしたかったので、野球部だけでなく、他のスポーツのトレーニングを見ることもできたのは、すごく良かったです。ただ、2年間働かせてもらっていたなかで、“もっとこうしたい”という考えが出てきて、大学スポーツだけでなく、もっと広い世界を見てみたいと思うようになって、退職して次の仕事を始めることになりました」
江見さんの新たなる仕事は、神戸のパーソナルジムでした。元々プロ野球のトレーナーを務めていた知人のパーソナルジムに就職し、本格的にパーソナルトレーナーとして活動を開始します。
「パーソナルトレーニングのノウハウはここで学ばせてもらいました。プロ野球とのつながりがある方のジムだったので、いろいろなご縁でプロの世界を身近に感じさせてもらうこともできました。外部指導という形で、部活動の指導も担当していましたし、たくさんのことを経験させてもらいました」
パーソナルトレーナーとして多くの経験を積んだ江見さんに次なる転機が訪れます。大学の後輩が地元の滋賀にパーソナルジムをオープン(大津Likeパーソナルジム)。「一緒にやりませんか?」という誘いを受け、新しいジムで新しい挑戦を始めました。
冒頭に記したように江見さんのトレーナーとしてのモットーは「その時間で笑顔をつくる」というもの。
「トレーニングはどうしてもきついものです。でも、やって良かったと思ってもらったり、バイタリティーが溢れてきたり、トレーニングをしたら笑顔になってほしい。もちろん、将来のためにがんばるという考え方もありますが、その瞬間も笑顔になってほしい。トレーニングは成果が出るまではきついかもしれませんが、単なる苦行にはならず、何か少しでも笑顔になってもらいたいと思って取り組んでいます」
Likeパーソナルジムは健康寿命を延ばすことをテーマとしており、江見さんの鍼灸師の資格がここに来て力を発揮しています。
「やってきたことはムダではなかったなと(笑)。現在はパーソナルトレーニングに加えて、鍼灸の治療(ルート治療)、ケアも行なっています。50分のセッションは時間の使い方も自由なので、お年寄り方の場合は、10分だけ動いて残りの時間は治療にすることもあります。とにかくお客様に笑顔になってもらうことが一番ですから」
このパーソナルジムでの活動に加え、大学卒業後から続けている母校の野球部のトレーナー、さらには高校野球部のトレーナー、そして東京では個別のパーソナル指導や走り方指導のサポートも行なうなど、現在の江見さんの活動は多岐にわたります。そんな江見さんの夢は“みんなの町トレーナー”になること。
「パーソナルトレーニングの変遷として、大手企業の取り組みをきっかけにボディメイクに興味を持つ方は増えたと思います。僕は元々スポーツ畑からきているので、町医者ならぬ、町トレーナーみたいな感じで、ボディメイクに限らず、何かあったときに気軽に相談できる存在でありたいと思っています。また、現在は小学生の運動能力の低下も問題視されています。たとえば小中学生のトレーニング無料化のように、子どもが高いお金を払わなくても誰でも平等運動ができる環境をつくりたいという夢もあります」
スポーツに親しみ、運動からからたくさんのこと学んできたからこそ、多くの人に気軽に運動に取り組んでほしい。そう考える江見さんは、何でも相談所のような“町トレーナー”を目指して、これからも活動を続けていきます。
というわけで今回はここまで。次回は実際のトレーニングを体験させてもらいます。
取材協力=THE PERSON
【トレーナーPROFILE】
江見亮輔(えみ・りょうすけ)
1988年8月18日、京都府出身。中学から大学まで野球に励む。びわこ成蹊スポーツ大学4年時には選手兼トレーナーとして活動。大学院在学中に鍼灸学校に通い、鍼灸師の資格を取得。大学勤務、パーソナルジム勤務を経て、現在は大津Likeパーソナルジムの店長を務めつつ、スポーツ団体での指導にも取り組む。
〈所有資格〉
日本スポーツ協会アスレチックトレーナー/NSCA CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)/鍼灸師/臨床栄養医学指導士
【店舗情報】
大津Likeパーソナルジム
住所:滋賀県大津市二本松1 ブランチ大津京Community Park2階
営業時間:9:00~21:00(不定休)
〈料金〉
パーソナルトレーニング50分=8,000円
鍼灸治療50分=10,000円
※その他、ジムのトレーナーのパーソナル料金など詳しくはHP参照。
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。