ウエイトリフター・山本俊樹が見せる新境地「3年はボディビルで勝てる体をつくりたい」




激戦区・東京を舞台に熱戦が繰り広げられた『第58回東京ボディビル選手権』(7月16日開催)。69名がエントリーした階級「ミスター東京」で準優勝に輝いたのが、ウエイトリフティングの2020東京五輪日本代表である山本俊樹だ。

【フォト】見せたウエイトリフティング仕込みの筋肉。山本のステージショット

優勝したアメフト出身ビルダー・阿部ロイと並んだステージはまさに壮観。本格アスリートがボディビル界に進出するという、勢力図の変化すらも感じられる闘いを繰り広げた。6月24日に開催された『第37回東京クラス別ボディビル選手権』の男子75kg超級でも準優勝と着実に成績を残している彼は、激戦区での闘いをこう振り返る。

「東京クラス別に続いて、今大会でも阿部君とまた闘うと思っていました。意識しても自分の体が変わるわけではないので、とにかく自分の体を良く見せられるよう、ポージングの部分にこだわってやってみました。とはいえ、2戦目でなかなか緊張が抜けなかったですね」

ここまでウエイトリフティングで国内トップ戦線を走ってきた。当初はボディビルへの挑戦は期間を3年と決め、本職に活かすための取り組みという位置づけだった。しかし、大会のステージを経験するごとに、彼の中で何かが変わった。

「メディアにはウエイトリフティングにつなげるためのボディビルと言ったんですけど、それは負けた時の言い訳になってしまうと思いました。また、ボディビルを本気でやっている人に対してすごく失礼でもあるので、ここ3年間はボディビルダーとして勝てる体をしっかりつくって、またウエイトリフティングに戻っていきたいと思います」

実際に大会を経験したことで固まった決意。そして、そのチャレンジを通して新たな気づきもあったようだ。

「ボディビルは体を表現する部分だけがピックアップされがちなんですけど、それに至るまでの私生活の部分が重要になってくる競技だと思います。ウエイトリフティングをやっていた時はそこまで気を遣っていなかったというのが本音で、今のほうがすごく健康的でアスリートらしい生活を送ることができています。この挑戦期間のベースを持ってまたウエイトリフティングに復帰しますが、すごくためになる期間だと思います」

ひとつの道を極めたアスリートが見せる新境地。進化を続ける山本の挑戦は、ボディビル界の活性化にもつながっていくことだろう。

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