女子のボディコンテストと言えばビキニ姿が一般的なイメージだろう。しかしながら近年、着衣のカテゴリーも各団体で設けられており、“ボディメイクコンテスト”はより広義に。コンテストはビギナートレーニーでも出場しやすくなり、女子の新たな可能性を生み出すものへと変化してきている。開催5年目のSuper Body Contest(SBC)でも、今夏からドレスの新カテゴリー「SBC MERMAID(マーメイド)部門」を始動させた。そこにはどんな狙いがあるのか、SBC Senior managing director兼ヘッドコーチの木下智愛氏に話を聞いた。
【フォト】マーメイドドレスで人魚になりきったフィットネス女子たち
全てのポーズや動きは人魚のように
――7月の兵庫大会で初めて、ロングドレスのMERMAID部門が開催されました。このカテゴリーを開催しようと思ったきっかけを教えてください。
まず、どの団体もやっていないものをつくりたいという思いがありました。ビキニのカテゴリーとは異なるもの生み出そうと考えたときに、他団体でもすでにログドレスの部門はありますし、そのまま「ロングドレス部門」では面白くないと思ったんです。そんなときにふと、体のラインもくっきり出るマーメイドスカートが頭に浮かんできて、「これだ!」と。これまでSBCの各カテゴリーをつくる際にもネーミングが先に浮かぶことが多かったのですが、“マーメイド”にピンときましたね。キャッチーで特徴的ですし、マーメイド=人魚というイメージも浮かびやすいんじゃないかと。
――実際にステージを見ると、まさに言葉通り、ステージに人魚が並んでいました。
「海の中を泳ぐ人魚」、まさにそれがSBC MERMAID部門のコンセプトです。ポージングやアームスなどは、「人魚はどんな動きをするだろう?」というところから着想を得て、海中と海辺の両方の動きをイメージしています。例えば静止時の基本である「マーメイドポーズ」は、インパクトを残したかったので、ステージングはこのポーズから始まってこのポーズで終わるというくらい何度も出てきます。イメージは、サンゴに寄りかかる人魚。レッスンの中で選手たちには、「ここにサンゴがあると想像してみて」と伝えています。
――特徴的で、ステージを一度見て頭に残りました。独特のアームスの動きも非常にしなやかで美しいですよね。
はい、海の中で泳ぐその様子を表現しています。ただ、ベースとなる規則的な動きは、実はSBC部門、TREND部門、MONOKINI部門、SBC TIGH部門と女子カテゴリー全てに共通しているベーシック3(スリー)と名付けた共通動作。だから、どこかの部門に出たことがあれば最低限の動きはすでに身についていて、すぐに覚えられるようにしています。
オリジナリティがあるもので言えば、例えば「キラキラ」と名付けた手の動きがあります。海の奥に潜ると、上から光が挿してキラキラとして見えますよね。その中で水をかいている動きをイメージしています。顔の前で八の字をかくのも「水かき」ですし、両腕を揃えながら下すのは「バタフライ」。つねに人魚が泳ぐ姿をイメージしています。私は規定ポーズの振り付けを種類に分けて全てネーミングをつけています。その方が覚えやすいしネーミングを言えば動作も出てきやすいからです。
――確かに、よく見ると他のカテゴリーでも見たことがある動きです。
「翼ポーズ」というのも、実はTIGHT部門と共通しています。ただ、TIGHTはスパンとカッコ良く見せるのですが、MERMAIDは柔らかく下ろしていきます。サイドポーズやバックポーズへの一連の動きもつねに水をかいたり、体を休めたりと、ステージに立っている皆さんには人魚になりきってもらっています。
――体づくりのポイントとしては?
審査基準として、表現力はもちろん体のアウトラインを見ていきます。バックポーズのときの背中の筋肉のカットなども見ますので、SBC部門ほどのハードさはなくても評価しますが、TREND部門のようなスリムなボディラインですと少しボリュームが足りません。
衣装のマーメイドラインのように肩からウエストまでの比率はS字ラインが綺麗に見え(ウエストからヒップのくびれライン)、サイドから見てもヒップラインは丸く引き上がったラインを評価します。肩幅はSBC部門ほどのワイドさは求めませんが、引き締まった筋肉のラインが見え、背中や上腕のカットもうっすらと見えているのが理想です。