骨にいいだけじゃない? 再注目される『牛乳の栄養価値』を専門家が解説




家庭の食卓や学校給食で頻繁に口にする機会があり、身近な食材である『牛乳』。カルシウムが豊富で体づくりに一役買ってくれるイメージのある牛乳ですが、今その栄養価値にあらためて注目が集まっています。

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そんな注目度の高さを現わすように、『牛乳の栄養再発見』メディアセミナー(10月25日開催)では、東北大学の齋藤忠夫名誉教授、管理栄養士の小山浩子氏、プロテイン愛好家のプロテインひろこ氏によるパネルディスカッションが展開されました。

左からプロテインひろこ氏、小山浩子氏、齋藤忠夫名誉教授

そこで小山氏が話したのは、牛乳は「栄養の総合デパート」とも言える存在であること。カルシウムのみならず活動のエネルギー源になるタンパク質・脂質・炭水化物を含有しており、体の調子を整えるビタミンやミネラルといった5大栄養素も豊富に含まれていることが特徴です。さらに、タンパク源となる他の食品と比べてカルシウム、ビタミンA、ビタミンB2の栄養素密度も高水準にあると語りました。

すべて天然由来の栄養素のため吸収率もよく、不足しがちな栄養を手軽に、美味しく摂取することがメリット。また、イライラする、疲れやすい、眠れない、風邪をひきやすいなど、よくある健康上の悩みを牛乳で解決することができるとも言及しました。

牛乳の成分栄養表

齋藤名誉教授は日本の背景として、「現代日本人はタンパク質が足りていない」とコメント。牛乳は、近年推奨されている摂取したタンパク質の量ではなく利用可能なタンパク質の量を示す指標『DIAAS(消化性必須アミノ酸スコア)』において、大豆などの植物性タンパク質よりも高いスコアを示していると話しました。

続けて、優れたタンパク源である牛乳ですが、日本の牛乳摂取量は年間31.8kg、1日87mlと主要国の中でも少ないという現実があるとも発表。コロナ禍で学校給食がストップした際には牛乳の大量廃棄が出たほどで、そういった消費問題を解決するという意味も込めて、毎日牛乳を飲む習慣づくりが必要との考えを述べました。

小山氏は牛乳の栄養価の解説に加え、牛乳を活用して手軽に栄養補給をする「ミル活」のすすめや、大福×牛乳でつくる「牛乳おしるこ」といったレシピも紹介。牛乳を摂取しやすくするアドバイスを送りました。

 

大福と牛乳を組み合わせたレシピを提案。通常よりも栄養価がプラスされることを示した

プロテインひろこ氏は両者の話を受け、自身がプロテイン愛好家になった経緯を語りつつ、自らもタンパク質をはじめとした不足栄養素を補う目的で牛乳を飲んでいたとコメント。齋藤名誉教授や小山氏と同様の考えを持っていたと喜びをあらわにしました。

ディスカッションの様子

あらためて注目される牛乳の可能性。簡単に手に入る身近な存在であるだけに、健康を支える有効な栄養摂取手段になり得ることでしょう。