日本の未来を担うかもしれない美筋女子たちの素顔に迫る『美筋女子TIME』。今回のゲストは今年の『第41回日本女子フィジーク選手権大会』で頂点に立った荻島順子さんです。
女子フィジークは昨年まで、荻島さんの師匠である澤田めぐみさんが2017年から通算4回の優勝を達成していました。そんな中で師匠の牙城を崩し、歴史を変えた荻島さんの肉体美はどのようにつくられたのか――。
荻島さんにMC・KURUMIが迫ると、彼女の熱い思いと師匠・澤田さんとの固い絆が見えてきました。
【トーク動画】荻島さんが師匠と過ごした濃密な日々、日本一の瞬間を振り返る
「最初はフィジークをやるつもりはなかったんです。『筋肉ついちゃうんで』とか言って、本格的なトレーニングは避けていました」
当時を振り返って、荻島さんは照れ笑いを浮かべます。学生時代から陸上に取り組み、社会人生活でもトライアスロンに取り組むなどスポーツは得意。ヒザをケガしたことがきっかけで走りから退き、その時に出会ったのがトレーニングでした。
筋肉がつきやすいことから、本格的なボディメイクを敬遠していた荻島さん。しかし、トレーナーさんの熱い勧めに折れる形で一度トライしてみると、みるみるうちにその魅力にハマっていきます。そこで「すごい人が近くにいる」と荻島さんが指導をお願いしたのが、女子フィジークで活躍していた澤田めぐみさんだったのです。
「澤田さんからはトレーニングだけでなく、選手としての心構えなどたくさんのことを教わりました」と回想するように、荻島さんは師匠に全力でついていきました。
「ある時、トレーニングメニューを飛ばしたいと思って澤田さんに言ったら『それは駄目』って言われたのをよく覚えています。『できるところまでやって、できない分は次の日にまわせばいいんだから』といった姿勢の部分など、女子フィジークでトップ選手になるために大切なことをたくさん教えてもらいました」
「また教えちゃった(笑)」と言いながらも、惜しみなく自身の持つすべてを伝授してきた澤田さんと、それをスポンジのように吸収する荻島さん。いつしか師弟でステージに立つようになった彼女たちは、日本のトップを争う存在として火花を散らします。
そして2023年。絶好調の荻島さんは、「第58回東京ボディビル選手権」(7/16)、「第34回ジャパンオープン選手権」(8/6)、9月の「第27回日本クラス別選手権」(9/3)と連続で金メダルを獲得する活躍を見せていました。
ついに迎えた「第41回日本女子フィジーク選手権大会」(10/8)では、大会を経るごとに磨きがかかる彫刻のような肉体美を披露。予選、決勝と選手が絞られていく中、最後に残ったのは荻島さんと師匠である澤田さんでした。
「澤田めぐみの連覇か、荻島順子が歴史を変えるか!」
白熱するアナウンスが会場に響く中、2位に呼ばれたのは澤田さんの名前。日本一が確定した瞬間、荻島さんの目からは涙がこぼれ落ちました。
「2年前の日本選手権で澤田さんと並んだ時は、ただうれしかっただけだったんですけど、今年はそんな余裕はまったくなくて。そこに行くまでの心が苦しすぎました。いろいろ思うところがすごくあって、同じステージに立つという重みがすごく自分の中でありました」
トップを争う存在として師匠と並び、葛藤を越えて頂点に立った荻島さん。日本一という栄冠を手にした後も競技への姿勢は変わりません。目の前のことに全力を尽くし、変わらず「やり続けるだけ」。コツコツと積み上げた努力が実を結び、特大の栄冠を彼女にもたらしました。
最強ボディの秘訣は熱すぎる情熱と師匠との絆。女子フィジーク界の新女王となった荻島さんはこれからも、変わることなくボディメイク道を追求し続けます。
(後編に続く)
【荻島さんが出演したトーク動画はこちら】
文/森本雄大
写真/木村雄大(大会)
写真提供/荻島順子