6月13日(日本時間14日)にPFLでの第2戦でリズ・カムーシュと対戦します。カムーシュは元ベラトールのチャンピオンで、自分がMMA転向後に初めて負けた因縁の相手です。3年前の対戦も同じ6月、試合会場も同じで、4月に試合をした後に6月という試合スパンも同じです。そしてカムーシュがトップ選手であるということも変わりません。ただ、自分は3年前とは大きく変わったと思っています。
あの負けから環境の変化も含めて、自分はまったく別人になったと思います。元々やってきた柔道やグラウンドコントロールなどである程度は勝ってくることができましたが、この先もっと上までいこうと思ったら、このままでは勝てないと思わせてくれたのが、前回のカムーシュとの試合でした。
環境的には以前にこのコラムで紹介したようにFIGHTER’S FLOWにMMAジムができたことが大きな変化です。いろいろなジムを転々としながら練習するのではなく、自分のホームといえるジムができたのは、本当にありがたいことです。そして闘い方の部分で言うと、一番大きな違いは構えをオーソドックスからサウスポーに変えました。
オーソドックスで構えていても、自分は柔道では右組だったので、ふとしたときにサウスポーになってしまうことが多かったんです。だったら最初からサウスポーにしてしまったほうが組みやすくなるというアドバイスをもらって変えました。利き手が右なので、左のパンチは苦手なのですが、そこもしっかり練習させてもらっています。
また、鈴木隼人コーチのもと、レスリングを教わっていることも3年前との違いです。キッズレスリングに混ざったりもしながら、レスリングを学んできました。レスリングの差し合い、手首を持つ、足首を持つという攻防は柔道にはないので、細かい技術がMMAでは生きてきます。今まではパンチをもらってもいいから前に出て四つで組んで胸を合わせて倒すというパターンでしたが、打撃の練習と合わせてレスリングを学んだことで、立ち技の攻防もスムーズになったと思います。
3月のPFLでの初戦でも進化は感じていて、バックをとったときのコントロールが楽になりました。鈴木コーチに教わるまではバックコントロールの細かい部分がわからなかったので、相手の背後をとっていても、無理やり胸を合わせて倒しにいくこともありました。今は相手が後ろを向くならバックからコントロールすればいいし、胸を合わせてきたらそこから倒すというように、臨機応変に対応できるので、試合運びが楽になりました。
前回のカムーシュ戦は何もできないまま負けたこともあって、嫌な印象はゼロではないです。やっぱり怖さはありますし、向こうはその後もチャンピオンで負けていないし、ほとんどフィニッシュして勝っているので、本当に強い選手です。一番の強敵と言って間違いありません。
自分にとってここは正念場です。今後の選手生命も変わってくるのではないかというくらい大事な試合なので、骨が折れようが、何があろうが、なんとしても勝ちたいと思っています。このコラムが公開されるときにはすでに現地に入っています。ケガなく当日を迎えられることが大事ですし、自分のすべてを賭けてリベンジしたいです。
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渡辺華奈(わたなべ・かな)
1988年8月21日、東京都出身。7歳から柔道を始め、高校ではインターハイ2位、アジアジュニア優勝などの実績を残し、東海大進学後、1年時に全日本ジュニア優勝を飾る。卒業後、JR東日本へ入社し、オリンピックを目指して競技を続けた。2017年に同社を退社し、格闘家に転身。同年12月3日にデビューを勝利で飾ると29日にはRIZIN初参戦で実力者杉山しずかに勝利。2021年よりアメリカ格闘技団体「ベラトール」に参戦を経て、2024年より主戦場をPFLへと移した。所属はFIGHTER’S FLOW