ちょっとした工夫で夏バテを効果的に回避しましょう
今回は、みなさんが夏によく食べる食事について少しアドバイスしたいと思います。
そうめんやざる蕎麦、冷やっこは、単体では栄養がとれないので、薬味や香味野菜として生姜、長ネギを加えたり、トッピングとしてささみ肉やきゅうりを加えて食べるようにしましょう。そうめんならめんつゆに抗酸化作用のあるゴマを加えたり、ざるそばなら卵を入れた月見そばでタンパク源をとる。山菜そばにするなど具材を必ず入れてみてはどうでしょう。豆腐は脂肪を燃やす食材です。夏場でもキムチや唐辛子を入れたスンドゥブチゲもいいかなと思います。
薬味として使う食材のうち、生姜は先に紹介したように燃え食材の代表でもあり、代謝を上げる効果があります。疲労回復効果も高いので、通年で食べるとよい食材です。生姜には新生姜と一般的に使われている根生姜の2種類があり、茶色い色をした根生姜の旬は秋。赤い茎が付いた新生姜は夏が旬で、甘酢漬けにして食べるといいでしょう。
ワサビは春先に花を咲かせて夏のイメージがあるのですが、辛味が強くなるのは晩秋から冬にかけての食材です。ただし殺菌作用があるのでお刺身には欠かせません。最近ではがん予防や、鼻からつーんと抜ける香りに血液をサラサラにする効果が期待できるなどともいわれています。気をつけたいのが、ワサビの辛味が胃を刺激して食欲を増強するということです。相性のいいのはタンパク質豊富な豆腐、長芋、意外なところでは脂質の旨みが多いアボカドです。ちなみに唐辛子、生姜、ニンニクの刺激もまた食欲を増す効果があるので、食べ過ぎて栄養過多にならないように注意してください。
暑い国の人はよく辛いものを食べます。辛いものを食べると一時的に熱くなりますが、発汗作用があるため体温を下げるという効果もあるのです。インド料理、メキシコ料理など、暑い国では理にかなった食べ方です。また辛いもの、スパイスには胃液の分泌を促して食欲を増進させるという効果があります。カレーはとくにそうですね。防腐効果もあります。
疲労回復、夏バテにはお酢も有効です。内臓脂肪、皮下脂肪を軽減させる働きもあるので、酢の物は最適です。苦手な人は、リンゴ酢などのフルーツ酢を炭酸や水で割って飲むのがお勧めです。フルーツ酢やレモン水をつくって冷蔵庫で冷やしておき、運動後に飲むようにしましょう。疲労回復ならハチミツレモン、乾燥したものでもOKなので梅干しを持ち歩くのもいいです。
すべての栄養をバランスよくとることが大切ですが、暑くて食欲がない時には無理して食べる必要はありません。けれども夏は汗とともに、水分のみでなくビタミンやミネラル、カルシウムも一緒に体の中から流れ出てしまいます。いちばんこわいのは、食べないことによって熱中症や脱水症状が起きること。こうした夏場の病気は治りにくいので、水分補給はこまめに行いましょう。塩分や糖分が入ったものならよりよく、固形物が食べられない時は野菜ジュース、野菜スープなどで補うようにするといいでしょう。そこにタンパク質や糖質が加わるとなおいいので、冷や汁やスンドゥブチゲにごはんを入れたりして栄養補給することをお勧めします。
食欲のない夏にはアイスクリームもよく食べられると思いますが、乳脂肪と砂糖でできているので要注意です。我慢し過ぎてストレスになるくらいなら少し食べてもいいのですが、できればかき氷のほうがいいですね。シロップをかけ過ぎないように気をつけて。それこそジンジャーシロップにするとか。夏にはやはりスムージーがお勧めです。
構成/石田佳子
川﨑泰代(かわさき・やすよ)
フードコーディネーター。アスリートフードマイスター。食育インストラクター。IHクッキングクリエーター。小学生のころよりバレーボールを始め、以来スポーツが生活に欠かせないものとなる。「走るフードコーディネーター」として、自らもフルマラソンに挑戦するなどアスリートとしての顔も持つ。自身の経験から「強い体と心は『食事』で作られる」というコンセプトのもと、一般アスリートからトッププロまで幅広く食事を指導。現在はサッカーJリーグU-18育成選手の食事指導にもあたっている。テレビ、ラジオ、雑誌などメディアでも活動している。
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