少女時代の異名は「怪力女」 筋トレの苦しみは「快感」 東大院卒リケジョ雀士は、なぜ筋トレをするのか?




日本プロ麻雀協会所属のプロ雀士・水谷葵さん。可憐なルックスからは想像のつかない、ムキムキの腕とじっくりと役を育てる対局スタイルで「バルクアップリーチ」の異名を持っています。ここでは、そんな彼女の筋トレのルーツに迫りました。

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「もともと筋肉質で、小学校時代からつきやすかったんです。男子からは『怪力女』って言われていました」と水谷さん。かつては自分の筋肉がコンプレックスだったと振り返ります。そこで発想を転換したことが、現在の彼女をつくる第一歩になりました。

「スポーツは大好きで、体を鍛えることに抵抗はなかったんです。筋肉がつけばスポーツにも役立つし、個性にもなるかなと思って考え方を変えました。ジムに通って、筋肉を突き詰めてみたらどうなるかなと思ったんです。それで中学からジムに行きはじめて、気づいたらこの腕ができあがっていました」

それから高校、大学と時を重ねる中でも、水谷さんは筋トレを継続していきました。その中で思わぬメリットを実感したのです。

まずひとつが体型の維持。もともと食べることが好きで、大人になってからはお酒もよく飲むようになった彼女は、気を抜くとすぐに体重が増えてしまっていました。しかし、筋トレの継続による運動習慣定着や基礎代謝アップにより、一時的に太ったとしても大きな苦労なく体重を落とすことができました。そして、何よりうれしかったのは麻雀への好影響でした。

長丁場の対局では体力や集中力が重要な要素となる

「筋トレで集中力が上がったと実感しています。脳にいい影響があるのか、対局で相手の捨て牌をよく覚えられるようになったり、パフォーマンスが上がりました。対局がある日でも午前中などの空き時間に体幹を鍛えたり、終わった後も筋トレをしながら対局の配信動画を見て、反省点を見つめ直す時間にしています。一石二鳥、時間の有効活用ですね」

東京大学大学院を卒業し、日頃はメーカーの総合職として働くバリキャリOLの一面も持つ水谷さん。プロ雀士と二足の草鞋を履くハードな日々の中でも、筋トレを欠かさないのは負けん気の強さがあるからこそです。

「小さい頃から男の人に『怪力女』みたいな感じで言われてきたので、負けないくらいになってやろうと思っていました。女性ってどうしてもなめられる感じはあると思うんですよ。ただ、そういう人もこの腕を見せつけると黙るので(笑)」

体を鍛えて健康を維持しつつ、勝負の世界に身を置く日々。そんなストイックな彼女を見て友人は、女子フィジークへの挑戦を勧めることもあるのだとか。水谷さん自身、「興味あります」とまんざらではないようです。それほどまでに打ち込める筋トレの魅力とは――。

「筋トレは本当に、自分を律するための基礎になるものだと思っています。単調に重いものを上げ下げしたりするのはきついんですけど、それが最終的に自分の健康とか、集中力とかをつくってくれるって考えたら、そういう苦しみは全然、快感に思えるくらいです。ドMなんですかね?(笑)」

小学校時代に出会った筋トレとの縁を大切に、彼女はこれからも勝負の道を突き進んでいきます。

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