7月21日、国立代々木競技場第二体育館で、NPO法人全世界空手道連盟新極真会が主催するフルコンタクト空手の無差別級世界大会「第1回空手Champion of Champions(KCC)」が開催された。賞金総額3,000万円、優勝賞金1,000万円をかけ、国内外から選ばれし男女各8名の最強戦士がワンナイトトーナメントで繰り広げた激闘の模様をお届けする。
【フォト】世界各国から精鋭が集結 出場選手13名フォト&KCC豪華演出の数々
従来の新極真会の無差別級世界大会はエントリー数が130名以上になることもあり、各選手が優勝を手にするためには最大で7~8試合を勝ち抜く必要があった。しかし、少数精鋭の世界大会であるKCCは最大でも3試合と、ダメージの蓄積が少ない状態でチャンピオンクラスの選手たちがぶつかり合うことになる。優勝賞金も含め、これまでになかった形式の大会として大会前から大きな注目を集めた今大会。文字通り、“チャンピオンの中のチャンピオン”を決するトーナメントとなった。
レーザー光線やスモークの演出、テーマ曲つきでの個別の入場など、これまでの空手の大会にはなかった華やかな演出により、超満員3,500人の会場には大声援が沸き起こった。男子は体重別世界大会チャンピオンであるリトアニアのエヴェンタス・グザウスカス、出場選手の中で唯一の他流派である白蓮会館の多田大祐、新極真会の主力である岡田侑己、渡辺優作も一回戦を勝利し、日本人3選手が全員ベスト4入り。
準決勝第1試合は突きで圧力をかけたグザウスカスが多田に勝利を収め、もうひとつの準決勝は多彩な蹴り技で渡辺を圧倒した岡田が決勝進出をはたした。
決勝戦は189cm、103kgの体格を誇るグザウスカスが突きで圧力をかけるが、岡田は回り込んでの下段廻し蹴りで反撃を試みると、突きとヒザでラッシュをかけて本戦3-0で岡田が初代チャンピオンに輝いた。これが初のビッグタイトル獲得となった岡田は「支えてくれた方々に恩返しができてよかったです。最高峰の選手ばかりでしたが、みなさんの応援の力で勝つことができました」と感謝を口にした。
女子の一回戦は、昨年の第13回世界大会を最年少の18歳で制した日本のエース・鈴木未紘がカザフスタンのアリーナ・オシペンコに勝利を収めた他、体重別世界女王であるリトアニアのブリジタ・グスタイタイテも“高速パンチ女子大生”の目代結菜を退け準決勝へ。網川来夢、藤原桃萌の福岡支部勢ふたりも準決勝へ駒を進め、ベスト4のうち3人を日本人が占めた。
グスタイタイテと網川の準決勝は、下突きとヒザで攻めたグスタイタイテが昨年の第13回世界大会のリベンジをはたす勝利。今年5月のJFKO全日本大会の再戦となった鈴木と藤原の準決勝第2試合は、最終延長にもつれる激闘の末に鈴木が藤原を撃破し、ともに世界タイトル保持者であるグスタイタイテと鈴木がファイナルへ進出した。
決勝戦は本戦で決着がつかず、延長戦へ。下突きで圧力をかけるグスタイタイテに押されず、鈴木は左の下段蹴りや左の突きなどで攻撃を仕かけ、5-0の判定で頂点に立った。「空手をやめたいと思ったこともありましたが、空手を選んであきらめずに続けてきてよかったです」と鈴木。英語でも同様のメッセージを残した。
日本が男女ダブル優勝をはたし、岡田と鈴木は優勝賞金1,000万円を獲得。フルコンタクト空手界にふたりのスターが誕生した。
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