9月8日に開催された、体重別の日本一決戦「日本クラス別ボディビル決戦」。男子は全9階級に分かれた中で、最激戦区と言ってもいい70kg以下級において優勝を果たしたのは吉岡賢輝だ。
「(2022年のジャパンオープンボディビル選手権以来)2年ぶりに優勝というものをいただけたので、うれしいですし、ホッとしています」と安堵の表情を見せた吉岡。日本選手権では2021年に初のファイナリスト入り(12位)、2022年は同10位と右肩上がりで実績を伸ばしてきたが、昨年は世代が近い喜納穂高や杉中一輝が順位を伸ばす中で2年連続の10位止まり。さらに10月末のジュラシックカップ(ボディビル界のレジェンド・木澤大祐&合戸孝二が主催する大会)では、期待の若手・椎名拓也に上回られて4位と、勢いに陰りが見えたシーズンとなった。ただ本人は「ああいうのがあったから、今があるのかな」と話す。
「一度ファイナリストになってから、少し落ち着いてしまった自分がいた気がします。そういう中で去年はジュラシックカップで4位という順位をいただいて、逆に燃えるものがありました。表現が難しいですが、昔の自分に戻れたというか、『もっとデカくしよう』みたいな気持ちを取り戻せたのは大きかったです」
吉岡が出場した70kg以下級には、日本選手権ファイナリスト経験者の松尾幸作や須江正尋らベテラン、さらに今年のミスター大阪(大阪ボディビル選手権優勝)に輝いた藤井貫太朗らがラインナップ。誰が優勝してもおかしくない空気の比較審査を経て吉岡が戴冠したわけだが、もともと持っていた上半身のバルキーさに下半身の強さが備わり、仕上がりも向上。トータルの完成度が高いボディを披露した。
「今年強化したポイント…というわけではないのですし、言ってしまえば『全部』なのですが、まずは『腕の日』をやめました。狙いはいろいろありますが、腕は十分に戦えているという実感はあり、それ以外の部位のトレーニングの時間をどれだけつくれるかが課題だと思っていて。ジュラシックカップが時期が遅く(10月末)、いつもよりオフも短かめだったので、腕だけの日に時間を使うのはやっぱりもったいないないと。それなら、できるだけ全部位のトレーニングを回そうとやってきたのが、結果として良かったところかもしれません」
次の舞台は、10月6日に大阪で開催される日本選手権。12位、10位、10位ときているのだから、目指すはランクアップのみ。
「あと1ヶ月、一段ギアを上げて日本選手権までの時間を過ごしていこうと思います」