27歳の消防士・扇谷開登。2024年、暴力的とも言える筋肉でボディビル界隈を席巻し、その名を知らない人はほぼいないと言えるところまで一気に知名度を高めた。大会初挑戦で日本男子ボディビル選手権4位、そしてその2週間後のジュラシックカップ2024(合戸孝二&木澤大祐主催のボディビルイベント)では2位に輝いた。
【フォト&ムービー】暴力的バルクで暴れまわる筋肉モンスターのステージ
骨格筋評論家のバズーカ岡田は「ホモサピエンスではない、ただのテストステロン」と評し、ジュラシックカップで同じステージに立った久野圭一は「デカすぎて消防士というよりむしろ消防車」と綴り、ジュラシックカップでは「ホモサピエンスの最高傑作」と形容された。上腕の太さは51cm、身長175cmで仕上がり体重は90kg超という感覚がバグるような規格外のバケモノボディは、なんと表現するのがベストなのか未だ不明だが、とにかく今シーズン最大とも言える注目を集め、しっかりと実績も残した。
「ジュラシックカップは純粋に楽しかったですね。日本選手権から2週間ありましたが、いつもやっていることを継続するのみでした。日本選手権に懸けている思いは大きかったので、それが終わってちょっと肩の荷が降りたという感じで、減量が辛いとかはなかったです」
メンズフィジークで競技をスタートし、昨年はクラシックフィジークで階級日本一。そこからボディビル初挑戦でこれだけの成績は、まさに異例。「今年はとにかく全部デカくしてやるって意識でやってきました」と、さまざまな要素が求められるボディビルという競技において、武器である圧倒的バルクにほぼ全振りしてステージに立った。
一方で、自分を客観視する冷静さも持ち合わせている。
「そうやってきたんですけど、やっぱりまだまだでしたね。日本選手権からジュラシックカップにかけては、まずは色を改善しなきゃと。カラーリングも2回して、日焼けサロンにも行って。あとはポージングも僕なりにかなり練習しました。ただ、まだまだ詰めなければいけないところがたくさんあり、来年への課題です。優勝した刈川(啓志郎)くんのほうが何枚も上手だったなと。たまたま僕が2位だっただけで、他の選手のほうが上手だったなと感じます」
単純な筋量勝負であれば日本一級だと言えるかもしれないが、上半身のバケモノ感と比べると下半身はまだ改善の余地があり、本人の言うように、それを最大限にステージ上で魅せるポージングの練度も経験を積む中でさらに良化していくだろう。全体的に改善の幅を残しながら実績を残したバルクモンスター、そのポテンシャルは無限大だ。
「もう、来年に向けてはじまってるんでね。みんなもスタートを切ってると思うので、もっと化けてやろうと思います」
筋肉の塊はそう不敵な笑みを浮かべ、2024年シーズンを終えた。