スペシャリストや人間ドラマにも注目 熱き自転車競技・ロードレースの楽しみ方




ロードレースは自転車で一般道を長距離走り、チームでの勝利を目指す競技だ。プロレースは有料配信で視聴することができるが、1レースあたりの放送時間が長いこともあり、どこから手を付けていいかわからない人も多いだろう。今回は観戦のツボを押さえてレースの魅力を堪能するべく、全日本ロードレースチャンピオン(1990年)の浅田顕さんに話を聞いた。

ⒸMangsaab_AdobeStock

【フォト】浅田さんの学生時代・現役時代の貴重な写真

レース展開以外にもさまざまな魅力がある

――ロードレースの配信を見る際、まずはどこから見始めるのがおすすめですか?

「全部見ると長時間になってしまうので、まずはダイジェストから入るといいと思います。ロードレースにはいくつかの賞があるんですけど、たとえば山岳賞、スプリント賞など、ダイジェストを見ればそういった見どころを押さえることができます。ただ、それだけだとレースの緊張感や興奮を味わいきれないので、次はラスト30kmを見るといいですね。1時間もかかりませんし、そのあたりはまさに、チームのエースが登場する区間になります。ラストのゴール争いはとても熱いですよ」

――チームで争う点も見どころになりますか?

「はい。各選手に役割があって、各々が責任を全うしながらゴールを目指す熱さがありますね。坂が得意なクライマーや直線勝負が得意なスプリンターはもちろん、エースのアシストに徹する選手もいます。黒子役の選手の走りがエースの温存に繋がったり、数字で見えない働きが評価されることもありますから、そういった選手の献身性は、他の競技以上のものがあると思います」

浅田顕さん

――チームとしての人間ドラマも熱いものがありそうですね。

「そうですね。たとえば、エース選手とアシスト選手は一心同体なところがあるので、エースがチームを移る際、アシストも一緒に移籍することがよくあります。選手同士の関係性も面白いところです。ただ、いきなり深いところまで見ていくのはハードルが高いと思うので、まずはレース全体の規模感とか、カッコいい選手がいるとか、そういうところから入る形でまったく問題ないと思います」

――レース展開以外にも魅力が満載ですね。

「レースの景観も魅力のひとつです。たとえば2024年で111回目を迎えた、世界最高峰のレース『ツール・ド・フランス』では、23日間の行程をかけて自転車でフランスを一周します。その行程では世界遺産を通過したりするので、レースを通じて絶景を見ることができます。あとは選手たちがスマートでカッコいいですから、イケメンがいるとか、ジャージがかっこいいとか、スピード感がすごいとか、そういうところが入口でいいと思います。山岳賞、スプリント賞、総合リーダーには特別なジャージがあり、スペシャリストは一目でわかるようになっているので、そういうところから注目して、選手を知っていくと感情移入しやすいと思います」

――まずは簡単に注目できるところからということですね。

「競技としてはすごく奥深い半面、わかりづらいところもあるので、段階的に理解を深めていくのがおすすめです。選手個人を知り、選手同士のバックボーンを知り、競技の深みをより知るとロードレース観戦が面白くなると思います」

【次のページ】浅田さんの学生時代&現役時代のフォト