観客を惹きつける「脚ドンマスキュラー」~吉岡賢輝(後編)【筋肉マニアのビルダー解体筋書】




YouTubeに投稿しているボディビル解説動画が話題の筋肉マニアが、毎週一人のボディビルダーをピックアップして紹介していく連載「解体筋書」。今回は、吉岡賢輝選手の後編です。
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【ムービー】これが吉岡賢輝の「脚ドンマスキュラー」だ

若い選手が惹かれる自信満々のポージング

ここからは、吉岡選手のキャラクター性についてお話しします。

吉岡選手は若手からの人気が本当に凄まじくて、カリスマと言っても過言でないほど、とてつもない影響力を持っています。なぜこれほどまでに人気があるのかと言うと、そもそも身体がかっこいい、とんでもなく強いXシェイプを持っていて、みんなが憧れるような体型をされているのはもちろんなのですが、もう一つ、お客さんに“魅せる”ポージングをされるところにあると思います。

例えば、有名な例で言うと、日本選手権の予選審査の時に、選手達は最初にワンポーズしてから登場するのですが、その時に吉岡選手は地面に足を叩きつけてからマスキュラーをするんですよね。僕は、「脚ドンマスキュラー」という風に呼んでるのですが、それがめちゃくちゃかっこいい上に「うわーっ」と盛り上がるような演出になっています。

吉岡選手は、みんなが「かっこいい」と思うようなステージングをしっかりと理解されていて、加えて自信満々にポージングをされるので、そういうところに若い選手達は惹かれるのではないかと思います。僕自身も、めちゃくちゃかっこいい選手だなと思いますね。

吉岡選手のもう一つの魅力は、フリーポーズです。最近は、フリーポーズの上手い若手選手がかなり増えてきていると思いますが、その代表格とも言えるほど、本当に吉岡選手はフリーポーズが上手です。フリーポーズが上手いとはどういうことかと言うと、まず音ハメするスキルが高いこと。例えば、“ドン”というメインの音があったとして、それに合わせてしっかりとポーズを決める、それ以外の流れるような曲調の部分は、滑らかなポージングをしているということです。緩急の付け方が上手いとも言えますね。

また、選曲も非常に良いです。僕は、選曲でフリーポーズの8割が決まると思っていて、この部分を間違えてしまうと、自分の身体のタイプに合ってなかったりして、見ているお客さんからすると「なんか違うなぁ」という風になることが結構多いんですよね。吉岡選手の場合は、迫力のある自分の身体にぴったり合う曲を使われています。しかも、それに合わせてバリエーション豊富なポージングやプレアクションを入れられるので、本当にかっこいいです。

特に、2022年のマッスルフェスタ横浜(横浜オープンボディビル・フィットネス大会)でのゲストポーズに関しては、神々しさを感じるほどの完成度でした。身体の完成度が高いことも勿論ですが、選曲、緩急の付け方、ポージングルーティン、ポーズの決め方、全てにおいて完璧と言わざるを得ないほどのクオリティーをされていて、僕は全人類が見た方がいいと思うほどに最高のフリーポーズだったと思います。

今回は吉岡賢輝選手の紹介をさせてもらいました。昨年の日本選手権は、急激な世代交代の流れがきていて、吉岡選手は新ファイナリスト勢の勢いに押されてしまった感じがありました。ただ、今年の日本選手権ではファイナリストの先輩として、ぶちかましてくれるんじゃないかと、僕は非常に期待しています。お読みいただき、ありがとうございました。

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