YouTubeに投稿しているボディビル解説動画が話題の筋肉マニアが、毎週一人のボディビルダーをピックアップして紹介していく連載「解体筋書」。今回は、“ホモサピエンスの最高傑作”として注目を集める扇谷開登選手の後編です。
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人類の可能性を見出すボディビルダー
前編では扇谷選手の身体の強みや改善点についてお話ししましたが、今の彼にとってそれよりも大きな課題となるのはステージングやポージングだと思います。ただ、昨年がボディビル初挑戦の年だったため、それらが課題になるのは当然であり、仕方ないことだと思います。にも関わらず、いきなり日本4位になってしまうのがこの選手の恐ろしいところです。
しかし、本当の恐ろしさはその成長速度と伸び代にあります。フィジーク選手として活躍されていたときは、脚のトレーニングをされていなかったため、脚トレ歴はわずか3年ほどですが、ハムストリングスの厚みはすでに日本トップクラスに達しています。ファイナリストと並んでも全く見劣りしない脚のクオリティを持ちつつも、まだ伸び代を感じさせるその身体は、他の選手にとってとんでもない脅威となっています。
ポージングが特別苦手というよりは、自分をより良く見せる、観客や審査員にアピールするという点において、扇谷選手は少し控えめな印象があります。昨年の日本選手権のフリーポーズでは、凶悪な身体とは裏腹にクラシカルな曲調に合わせた滑らかなポージングを披露されていました。落ち着いたフリーが悪いわけでは決してありませんが、個人的にはその超人的なバルクを生かした大迫力のフリーポーズが見たいなと思ってしまいました(笑)。
ポージングに課題があると言いつつ、こんなことを言うのもどうかと思いますが、扇谷選手にはポージングはそのままに、身体をどんどん成長させて日本一になってほしい願望があるんですよね。「ボディビルダーとして日本一を目指したのではなく、人類史上最強の体を求めた結果、ボディビル日本一になってしまった」というストーリーを僕は見たいのかもしれません(笑)
実際、ご本人もトレーニングを通して「漢になりたい」と仰っており、僕が夢見るストーリーを実現でき得る存在だと思います。すでに身体のデカさでは他の選手と比較できないほどになっており、人類の未知の領域を見せてくれるのではないかとワクワクしますね。
今回は扇谷開登選手について紹介させてもらいました。刈川啓志郎選手と並んで今、もっとも日本を騒がせている怪物ビルダーの今後に期待です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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