そもそもちびめがさんって??
ちびめがさんは、ビ女子という言葉の代名詞的な存在です。ネットでご自身のブログ『☆ちびめがごっは~ん☆』が話題となり、その存在が知られることになりました。今やボディビル界でその名を知らぬ人はいないというほど、熱狂的なボディビル観戦マニア。これまで全国各地で開催される大会を遠征しながら、撮りためた写真は実に75万を超えるというのだから驚きです。
それにしても不思議なのは「ちびめが」という、その独特の愛称。一体なぜ「ちびめが」なんでしょうか…??
ちびめが:実は、昔眼鏡をかけていたんです。小さくて眼鏡をかけているから「ちびめが」、そのまんまなんですけどね。
――そうなんですね。てっきり「小さい」の“ちび”と「大きい」の“メガ”を組み合わせて「ちびメガ」だと思っていました。
ちびめが:よく言われるんですよ。日本には「妻鹿(めが)」という苗字の方もいらっしゃるので、本名と組み合わせていたと思われていた方もいたみたいです。
――いろいろな説があるんですね(笑)。
ちびめが:そうですね。ネットで有名になったので、一時期、男性疑惑も持ち上がったりしていました。
――そもそも、ボディビルの大会には、どういったきっかけで観に行くようになったんですか?
ちびめが:もともと、通っていたフィットネスジムでトレーナーをされていた萩原悟選手に「今度のボディビル大会で選手宣誓をするので、ぜひ観に来てください」とお誘いをいただいたのが、最初のきっかけです。それが8年前の2010年のことですね。なので、今でも萩原選手が出場される大会は、優先的に観に行くようにしています。
――その時は選手宣誓が目的だったんですか?
ちびめが:はい。萩原選手の応援と、選手宣誓を目的に観に行って、萩原選手が出場されているカテゴリーだけ観戦しました(笑)。
――ボディビルの大会にはまっていくのはいつごろからですか?
ちびめが:その翌年からですね。萩原選手が宇都宮での大会に出場されるということでプチ遠征しました。せっかく宇都宮まで来たのでということで、初めて大会を朝から最後まで一日中観ました。
――その頃から段々と、はまっていくんですね。
ちびめが:そうですね。そもそも、フリー審査というのがあることすら知らなかったんです。それがとても衝撃的で面白かったのと、観ていくうちに、だんだん選手の名前と顔を覚えてきて、大会ごとにその選手の筋肉の仕上がり方が違うことにも気付くようになってきて、それが面白くてボディビルがもつ魅力の虜になっていきました。
――写真は、最初から撮られていたんですか?
ちびめが:いえ、最初は観るだけでした。ただ、自分なりにボディビルの観方が分かってきたときに、大会結果を調べても優勝者の写真しか載っていないことが多々あり、なぜその選手が優勝者なのか、他の選手と比較することができなかったので、だったら自分で写真を撮ろうと思い、撮影をはじめました。そこで、自分で撮った写真を見ながら、審査結果と照らし合わせて目を肥やしていきました。
――この本に関わられることになったのは、どのような経緯でですか?
ちびめが:昨年の11月ごろ、この本に使用する写真をJBBF広報の上野さんが探していたそうで、その時周りの方から「ちびめが」さんにお願いしたら?とアドバイスをもらったみたいです。
――上野さんとは、その時が「はじめまして」だったんですか?
ちびめが:いえ、実はそれまでにも、上野さんとは大会の会場で、よくお話はししていました。というのも、上野さんは大会の際、プロテインの販売を行なっているので、そのスペースに私の大荷物を置かせてもらったりしていたんです。なので、上野さんは私の本名は知っていたんですけど、ちびめがが私だということは知らなかったみたいです。
――写真の依頼するときに、初めてちびめがさんだと分かったんですね。
ちびめが:そうです(笑)。『ボディビルのかけ声事典』を出版したいので、これまで全国各地で撮りためた写真を提供してほしいと依頼されました。私自身、ボディビル界のさらなる飛躍とメジャー化を目指していますので、互いの利害も合致し、喜んでお引き受けすることにしました。
――かけ声と写真のポーズがぴったりはまっていて、とても分かりやすいと思ったのですが、写真はちびめがさんが選ばれたのですか?
ちびめが:はい。上野さんから、本に載せるかけ声のリストを送ってもらい、それを一つずつ確認しながら、自分がこれまで撮りためてきた写真から、ぴったりだと思うものを選んでいきました。
――いくつもの写真の中から一枚を選ぶのは大変そうですね。
ちびめが: ものすごく大変ですよ! でもとても楽しい作業でした。昔撮った写真を見返しながら、だんだんと関係ない写真まで見始めてしまったりして(笑) そのせいもあって、かなり時間がかかりました。
――どういう基準で写真は選ばれたんですか?
ちびめが:まずは言葉とポーズが合致している写真を大前提に、その中で地方大会の選手も含めて、さまざまな選手の写真を選ぶようにしました。あとは、一般の方が読まれると思ったので、例えば「巨乳」と「大胸筋が歩いている」など違いが分かりにくいので、「大胸筋が歩いてる」という言葉には選手自身が歩いているかのような写真を選びました。
――「脚がゴリラ」も少し分かりにくい表現だと思うんですけど、これを選んだ意図はなんですか?
ちびめが:本当に失礼なんですけど、見た目がゴリラっぽいので選びました(笑)。
――なるほど、確かにゴリラっぽいですね(笑)。「お尻にバタフライ」も、いわれてみるともはやバタフライにしか見えないですね。
ちびめが:この言葉は私が作ったんです!
――そうなんですか?!
ちびめが:選手の後ろ姿の写真を撮っていて、「めっちゃ、蝶なんだけど」と言ったのが最初です。今まで「お尻が四角」と言う選手はいたのですが、蝶と言ったのは私が初めてです(笑) 。それをブログに載せたら、去年の学生大会で学生さんが使ってくれて、広まっていきました。
――何がちびめがさんをそこまでボディビルにのめり込ませるのでしょうか?
ちびめが:知れば知るほど楽しめるので、そういうコアな楽しみかたって昔から好きでした。
――コアな部分というのは、例えばどんなところですか?
ちびめが:例えば、若い選手の筋肉ってパンパンにそれこそ詰まっているのですが、お年を召した選手方は、皮膚が薄くなるのか筋線維がきめ細やかに浮いて来るんですね。私はどちらかというと後者の方が好きなのですが、そういう楽しみ方もあります!
――コアですね(笑)。
ちびめが:あとは、つっこめるのがいいですね。リラックスポーズも、初めて観たときは「全然リラックスしてないじゃん」って思わずつっこんじゃいましたし(笑)。関西育ちなので、そういうところが自分にはあっていると思います。
時間の経過とともに、夢中になってボディビルへの溢れる愛を語ってくれたちびめがさん。
★次回はそんな、ちびめがさんの観戦スタイルをお聞きします。
取材・撮影/須崎竜太