従来のボディビルのイメージを覆す肉体とステージング~嶋田慶太(後編)【筋肉マニアのビルダー解体筋書】




YouTubeに投稿しているボディビル解説動画が話題の筋肉マニアが、毎週一人のボディビルダーをピックアップして紹介していく連載「解体筋書」。今回は、嶋田慶太選手の後編です。
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【ムービー】嶋田選手のワールドカップでのステージング

美しさを追求したボディビル

2000年代以降、日本のボディビルはよりサイズや全身のバランスを重要視されることが多くなりました。田代誠選手、合戸孝二選手、鈴木雅選手、横川尚隆選手などの歴代王者は当時、他を圧倒するようなサイズとバランスを併せ持ち、ボディビルの象徴とも言える迫力満点の体をされていました。しかし、近年はタイトなウエストを備えたプロポーションの良いボディビルダーが評価されつつあります。

この近代ボディビルの流れは、嶋田慶太選手から始まったのではないかと僕は思います。初めて日本選手権ファイナリスト入りを果たした2019年の嶋田選手の体は、従来のバルク派とは全く異なっており、異質な存在感を放っていました。まさに彫刻と呼ぶに相応しいその肉体美は、それまでのボディビルの常識を覆すほどの衝撃だったのではないかと思います。

日本トップの大会で高い評価を得た嶋田選手は破竹の勢いで順位を上げ、現在その地位は盤石なものとなっています。嶋田選手の登場もあってか、最近はプロポーション派と呼ばれるボディビルダーが増加したような気がします。

日本ボディビル界に新たな風を巻き起こした嶋田選手ですが、洗練された美しさは肉体だけに留まりません。指先まで意識された滑らかで繊細なポージングは、肉体と合わさってその芸術性をさらに高めるものとなっています。昨年の日本選手権では、初のベストアーティスティック賞も受賞されており、現役の中では日本一美しいボディビルダーと呼べるかもしれません。

今回は嶋田慶太選手についてお話しさせていただきました。最近は若手ビルダーの勢いが凄まじく、日本選手権でも大きな世代交代がありました。少数派となってしまったベテランファイナリストの中でも表彰台に残り続ける嶋田選手が、今年は悲願の日本選手権優勝となるのか、見所ですね。

次回は、「唯一無二の表現力を誇るフリーポーズの天才」について語らせていただきます。お楽しみに!

▶次ページ:嶋田選手のワールドカップステージフォト&ムービー

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