YouTubeに投稿しているボディビル解説動画が話題の筋肉マニアが、毎週一人のボディビルダーをピックアップして紹介していく連載「解体筋書」。今回は、2019年日本選手権7位の髙梨圭祐選手です。
【ムービー】まさにゴリ。野生味溢れる表情でポーズをとる高梨選手
人は彼を「ゴリ」と呼ぶ
「ゴリ髙梨」の愛称で知られる髙梨圭祐選手は、ボディビル歴34年にもなる大ベテランで、2015年から2022年にかけて7回連続で日本選手権ファイナリスト入りを果たしたレジェンドビルダーの1人です。
古き良きボディビルダーの理想とも言えるアウトラインとバルク、致命的となる欠点もほとんどなく、仕上がりも非常にハードな選手です。大胸筋は弱点ではありますが、インナーマッスルの厚みによって十分カバーできています。
どの部位を見ても見事なまでに発達している髙梨選手ですが、中でもハムケツの仕上がりは一級品です。当然のようにストリエーション(筋繊維)が走った臀部に、峡谷のような深いカットが入ったハムストリングスは、これぞバキバキと言わんばかりの質感をしています。
髙梨選手が「ゴリ髙梨」の愛称で親しまれている理由の1つに「野生味溢れる表情」があります。特に、マスキュラーポーズを取った時の噛み潰すような表情は、その堂々たる筋肉量も相まって、まさしくゴリラを彷彿とさせます。また、髙梨選手の大好物がバナナであることも「ゴリ」の名がつく所以です。大会前には20本ものバナナを食す程の好物っぷりで、これが彼独自のカーボアップ法であることは業界内でも有名です。
髙梨選手は、現在でも現役バリバリの選手として活躍おり、「The ボディビルダー」と言っても過言ではない素晴らしい体をしていますが、日本選手権においては評価が上がらない状態が続いています。僕個人としては、もっと評価が高くてもいい選手だと思いますが、このような現状になっている理由として考えられるのは、「髙梨選手の皮膚感の緩み」と「トップ層の急激なレベルの上昇」があります。50代半ばあたりからどの選手にも見られる皮膚の張りの減少が、髙梨選手にはこの数年で顕著に見られるようになりました。それによって、皮膚が筋肉に張り付いたような以前までの質感が確認しづらくなり、評価が落ちてしまったのではないかと思います。また、近年は若手選手の猛攻によって激しい世代交代が行われており、髙梨選手もその流れに飲まれてしまったような印象があります。
しかしながら、見事なアウトラインと強力な絞りは健在であり、53歳といえどもまだまだ新世代に喰らい付く余地は残していると思います。これからのゴリ髙梨に期待大です。
今回は髙梨圭祐選手についてお話しさせていただきました。メディアへの露出も少なく、知名度が極めて高い選手というわけではありませんが、トップ戦線で戦っているボディビルダーには違いありません。もし、皆さんが大会観戦中に髙梨選手がステージに出てきたら是非「ゴリー!!」と大きな声で応援しましょう!
次回は、ボディビルの為に片目の視力を失うことを選んだ狂気の男についてお話しします。お楽しみに!
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