氷上を舞うフィギュアスケートでは、表現力もさることながら体幹や足腰の強さといったフィジカル要素も重要になる。日々のトレーニングを積み重ね、スケーターたちはリンクで輝きを放っている。
6月27日(金)、神奈川・KOSÉ新横浜スケートセンターでアイスショー「ドリーム・オン・アイス」が開催された。このショーは例年、国内トップスケーターたちが新シーズンのプログラムをお披露目する場となっており、今年も選手たちが、試合のような明るい照明の下で新プログラムを発表した。
フィジカル特集でも取り上げた北京五輪銀メダリストの坂本花織は、2025-2026シーズン限りでの現役引退を公言。新フリープログラム「愛の讃歌」は、坂本らしい力強い滑りと磨き上げた美しいエレメンツを堪能できるプログラムで、「自分の大好きなスケート」を表現すると言う。インタビューでは、「五輪を目指して1試合、1試合、いつも通りがんばりたいです」とコメント。そして「五輪に出られたら、団体、個人ともに銀メダル以上を狙ってがんばりたいと思っています」と意気込んだ。

世界選手権6位の樋口新葉は新ショートプログラム「My Way」を演技。プログラムについて「自分のスケート人生を表現するようなプログラムになっている」と語る樋口も2025-2026シーズン限りでの現役引退を表明。「やるからには五輪を目指して進んでいきたい。その中で、一つひとつの試合を『最後』と感じ取りながら、『今までやってきたことが間違っていなかった』と納得できるようにしていくことが目標です」と語った。

世界選手権6位の佐藤駿は、北京五輪金メダリストのギヨーム・シゼロンの振り付けによる「火の鳥」を新フリーにセレクト。同曲はソチ五輪で町田樹が滑った曲としても知られ、佐藤は「町田樹さんの演技を参考にさせていただいています」とコメント。大きな見どころである後半のステップシークエンスについて「体力的にも大変ですが、全力で滑り切ることができたらいいプログラムになると思います」と語り、「まずは一つひとつの試合を意味あるものに。自分にとって満足のいく結果が得られるようにがんばっていきたい」と前を見据えた。

北京五輪銀メダリストの鍵山優真は、新ショートプログラム「I Wish」を披露。軽快なジャズ調のプログラムで、フィギュアスケートではあまり見られない床のダンスのようなステップやボディームーブメントが振り付けに取り入れられている。鍵山は観客に向け「ぜひ手拍子で(いっしょに)盛り上がってくれるとうれしいです」と呼びかけた。そして新シーズンの目標については「一番目指すべき場所は、五輪の金メダル」とは発言。「団体も個人も金メダルを目指しているので、そのために今から一日もムダにすることなく努力していかなければならない。それを積み重ねていけば自分の目標につながると思うので、一日一日を大事にして過ごしていきたいです」と闘志を燃やした。

10月17日(金)からはシーズン前半のハイライトである「グランプリシリーズ2025」が開幕。第1戦・フランス大会には、シングル競技に坂本、住吉りをん、中井亜美、三浦佳生、壷井達也、ペア競技に三浦璃来&木原龍一組が出場する。五輪の代表選考にも大きく関わるシリーズだけに大きな注目が集まる。