7月21日にかつしかシンフォニーヒルズにて、東京の筋肉No.1を決める第60回東京ボディビル選手権大会、通称「ミスター東京」が開催される。
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昨年は、初出場の大学4年生・刈川啓志郎がミスター東京の座を奪取。その後の日本選手権でも3位と大躍進を果たしたのは記憶に新しい。今大会は言うなれば“卒業制”で、歴代優勝者の出場はない。そのため、前回大会の上位入賞者が優勝を争うのが通例であり、昨年準優勝の四十物悠弥(30)、同3位の野上駿(33)、同4位の泉風雅(27)、同5位の山本俊樹(34)、同6位の櫻原國明(36)が表彰台に絡んでくるのは間違いないだろう。
その中で、エントリー表が発表されるやいなや界隈を賑わせたのは、榎本星矢(26)の名がリストにあったことだ。昆虫の愛好家であり「カブトムシのような身体を目指している」と当時話していた彼は「ビートル榎本」と呼ばれ、2018年のジュニア選手権で準優勝、2019年に20歳にして東京クラス別選手権75kg超級で優勝。同年のミスター東京では初優勝を飾ることになる相澤隼人との優勝争いが期待されたが、体調不良により欠場。以後、彼はボディビルのステージから姿を消していた。

SNSでの発信も控えめでコロナ禍での動きはベールに包まれていたが、トレーニングは継続し、その中で昆虫食も取り入れていた模様。身長161cmに対して体重78kgでというボディで挑む6年ぶりのステージは、今大会最大の注目を浴びることになるはずだ。
そんな榎本を2018年のジュニア選手権で破り優勝を果たしているのが、昨年4位の泉である。彼もまた2018年のステージを最後に一時ステージから離れ、2023年の東京クラス別でカムバック。復帰3年目となる今年は、本格的にタイトルを目指したいところだろう。ポーズをとった瞬間のインパクトは昨年上位陣の中でも群を抜いており、破壊力は抜群。その一方で強みと弱みが明確なぶん、評価は分かれるかもしれない。
四十物と野上は、泉とは正反対とも言えるバランス派。ここ数年の日本ボディビル・フィットネス連盟(JBBF)主催大会でトレンドにもなっている「弱点が少ない」ボディの持ち主であり、安定した仕上がりで上位を争っている。だが、その「安定感」が「優勝」の決定打になりにくいのがこのミスター東京の難しさでもあり、見どころでもある。昨年覇者の刈川は「2位、3位が続くとそのイメージが付いてしまう。いきなり出てきて一気に優勝を獲りたかった」と話していたように、今大会は榎本というまさにそのルートを目指す存在は、彼らにとって不気味であるだろう。

そして、今大会に並ならぬ決意で臨むことが予想されるのが山本だ。ご存知、ウエイトリフティングで東京オリンピックに出場した彼は、怪我を機に2023年から3年間限定でのボディビル挑戦を明言。今年はそのラストイヤーとなる。昨年の東京選手権ではやや仕上がりが甘く5位に甘んじたが、その後の日本クラス別選手権では85kg以下級を制覇しており、「ウエイトリフティングからきた人」と彼を称するのはもはや彼に失礼だろう。「真のボディビルダー」に進化した山本にとってミスター東京は、是が非でも獲得したいタイトルなはずだ。

ボディビル以外にも、女子フィジーク、ボディフィットネス、ビキニフィットネス、フィットモデル、メンズフィジークの競技も行なわれ、それぞれ東京No.1が決まる。いち都道府県大会の枠に収まらない、ハイレベルな熱戦に期待したい。