強みは“アイドルでつけた体力と筋力” SKE卒業・荒井優希、プリンセス・プリンセス王座戴冠なるか?




今年の春、荒井優希はSKE48を卒業した。これまでアイドルとプロレスの二刀流で活躍し、昨年はプロレスではインターナショナル・プリンセス王座を防衛しながら、SKE48の楽曲では選抜入りする、という活躍ぶり。どちらかひとつだけでも大変なのに、同時に1年間やりとげたことは、もはや偉業といってもいいだろう。

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4月からはプロレス一本に活動を絞り、全国をサーキットしつつ、海外遠征もすでに二度、経験。プロレスラーとして充実しまくっている最高のタイミングでついに最高峰王座への挑戦も決まった。7月21日、大田区総合体育館で王者・瑞希に挑むプリンセス・オブ・プリンセス選手権はプロレスラーとしての真価を問われる大一番となる。

アイドルを卒業する直前、荒井優希にとって二刀流の集大成ともいえるビッグマッチが今回の舞台となる大田区総合体育館で組まれた。『女子プロレスの横綱』と称された里村明衣子との一騎打ち。里村は4月29日に全盛期のまま引退してしまったので、これが最初で最後のシングルマッチとなる。

試合がはじまってすぐ、里村はものすごく重いローキックを一発、入れた。そのとき里村の表情が一瞬、固くなったように見えたのだが、あとで話を聞くと「荒井選手の太ももの硬さにびっくりした!」と目を丸くした。里村の考察によると「あれはプロレスの練習だけでついた筋肉ではない。アイドルのレッスンで鍛錬したできた筋肉が基になっている。さすがはトップアイドルですよ!」

おそらく里村の考察は当たっている。アイドルがプロレスをやるなんて……と眉を顰める方が結構いるようだが、ドームツアーをやるような人気アイドルグループであれば、巨大なステージを走り回りながら、3時間以上、歌って踊るためのスタミナが必要。本人たちに鍛えている意識はなくとも、日々のレッスンで知らず知らずのうちに「体力おばけ」になっているケースが多い。

だからといってアイドルがみんなプロレスラーになれるわけではないが、荒井優希にはものすごく適性があり、アイドルとして鍛えた筋肉をリングでフルに活かせるセンスもあった。そして、なによりもプロレスラーとしても練習熱心だったことが大きい。

前述したように二刀流として活躍していた時期はめちゃくちゃ忙しかった。新曲のプロモーション期間にはなかなか試合出場がかなわず、1か月以上、ブランクが空いてしまうこともあった。そんなとき彼女は道場で練習することでブランクを埋めてきた。SKE48の活動拠点は名古屋。ちょっと時間が空くと彼女は名古屋から新幹線に飛び乗り、東京へ。そのまま道場に直行すると数時間、リングで汗を流し、また新幹線で名古屋へ……忙しい日々でこのアクションを起こすのは、本当にヘヴィなこと。二刀流で成功するには、こんな目に見えない努力がやっぱり必要なのである。

プロレスに専念したことで、そんなハードスケジュールからは解放された。もうアイドルとしてレッスンはしなくなったけれども、アイドル時代に培った筋肉は落ちることなどない。初挑戦で戴冠することは極めて困難、といわれているプリンセス・オブ・プリンセス王座だが、はたして荒井優希の初挑戦の結果はいかに――?!

文/小島和宏
写真提供/東京女子プロレス