YouTubeに投稿しているボディビル解説動画が話題の筋肉マニアが、毎週一人のボディビルダーをピックアップして紹介していく連載「解体筋書」。今回は、東京選手権優勝の泉風雅選手です。
飾らないキャラクターで愛される東京王者
先日の東京選手権、例年のことながらとてつもない盛り上がりを見せてくれましたね。かつて、ボディビル界に衝撃を与えたジュニア選手「ビートル榎本」の復活もあって、より注目度が高まっていた同大会ですが、56名の大激戦を見事制したのは、2018年の日本ジュニア王者、泉風雅選手でした。
「ずーみー」の愛称で親しまれる彼の特徴は、無敵のアウトラインです。メリハリのある上腕、どの角度から見ても張り出した三角筋、宙に舞い上がりそうな広がりのある広背筋、脅威的な幅と重厚感を持たせる大腿部は、誰が相手でも関係ないと言えるほど理想的なシルエットを構成しています。仕上がりも比較的安定しており、ダイナミックでありながら繊細さも兼ね備えるポージングは一級品です。大胸筋は、長年の課題となっていますが、決して厚みが弱点の選手ではなく、インナーやその他の強みでそれをカバーできていると思います。
今回、2位となった四十物悠弥選手との差を分けたものは何だったのか。私が思うにそれは、「広がり」だったのではないかと思います。四十物選手は、全身バランス良く発達しており、特に上半身の密度感は凄まじいです。一方で、シルエットの広がりにおいては、泉選手の後手に回ってしまっているような印象を受けました。反対に、泉選手は筋肉一つ一つの密度ではやや劣るものの、純粋なサイズは引けを取っておらず、張り出しやアウトラインにおいては圧倒的とも言える存在感を放っていました。中でも、バックポーズの下半身は強烈で、飛び出した外側広筋や一切隙間のない内転筋は、日本トップクラスの完成度をしていたと思います。
皆が待ち望んだ泉選手のカムバックから3年。彼は、「日本選手権ファイナリストの登竜門」ミスター東京優勝を果たしたことで多くの人に感動を与えたのではないかと思います。横川尚隆、相澤隼人、刈川啓志郎といった歴代のジュニア出身のトップ選手達に続き、泉選手が今後どんな活躍を見せてくれるかが非常に楽しみですね。
次回は、先日の東京選手権にて6年振りに復活し、驚愕の体を披露した元ジュニア選手についてお話しします。お楽しみに!
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