男子ボディビルにおいて、JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)主催の日本選手権では昨年、ファイナリスト(上位12人)の半数を20代の選手が占めた。その一方で女子フィジークでは、10人が50歳以上の選手である。単純な男女の比較はできないが、その中でもただ一人、20代で3年連続でトップ12入りを続けてきた選手がいる。
【フォト&ムービー】はつらつとした笑顔でマッスルボディを披露する藤原
岡山県出身の藤原彩香は、Xのアカウント名「@f_inakamondayo」の通り、田舎生まれ、田舎育ち。20代半ばで筋トレに目覚め、競技デビューの2022年にいきなり日本選手権10位に。2023年は6位、2024年は11位。上位の壁の高さに阻まれながらも、健闘を見せてきた。
そんな彼女が9月7日に千葉市民会館で行われた「第29回日本クラス別ボディビル選手権」の158cm以下級で、堂々の銀メダルを獲得。女王・荻島順子とはまだ壁1枚以上の隔たりがある印象だが、その差は確実に埋まっている印象を受けた。
「素直に嬉しいです。今の時点ですでに昨年の日本選手権の体重を下回っているのですが、それでいて筋肉にハリがあり、一つ一つの筋肉が押し出でてくる感じがして、今までよりも良い状態にあるなと思っていて、この結果にはすごく満足してます。まだまだ日本選手権に向けて高めていけるなっていう感触もあります」
観客席から見ていても、最高位を獲得した2023年よりも仕上がりは勝っていると感じられた。それを実現させた要因はどこにあるのか。
「アライメント(頭部から四肢に至るまでの関節や身体の配列)を整えることですね。去年からずっと左足や腰に少し痛みがあり、ずっとそれをごまかしながらやってきていました。付いてきた筋肉のバランスが良くなかったり、脚がなかなか絞れないという自分自身の弱点だったのですが、それは脚が痛くてうまく使えていなかったことが要因だったのではないかと。今年はそこの改善にすごく注力してきたことで実際にこうした結果にもつながったので、答え合わせができたんじゃないかと思っています」
10月に控える日本選手権、上位陣のエントリーはさほど変わらない見込みで、今年30歳の藤原が圧倒的に若い状況は例年通りだろう。この勢いのまま、人生の先輩たちを破っていく姿を見てみたい。
「ボディビル競技はとにかく楽しいので、この楽しさをもっとみんなに知ってもらえたら嬉しいですし、若い選手が増えたらいいんですけどね。扱える重量だったり、身体が変わっていく日々が楽しいですし、ポージングの見せ方次第で『もっと変われるかも』と感じられる気づきもあります。
そういう小さなことの積み重ねで自分の成長を感じられるのがすごく楽しいですし、筋トレやボディビル競技を通して、こうしていろいろな方に出会えたことも嬉しいです。日本選手権では自分自身を更新して、今までで一番良い姿で立てるように努力していきます!」
まるで少年のように目を光らせながら筋トレとボディビルの楽しさを語ってくれた藤原。いま最も勢いのあるマッスルガールは、10月の東京でさらなる輝きを放ってくれるはずだ。