後に日本選手権3位となる刈川啓志郎が頂点に立ち、その名を全国へと知らしめるきっかけとなった2022年の関東学生ボディビル選手権大会。突如現れた怪物に多くの注目が集まる中、入賞者20人のうち唯一の1年生としていきなり4位に立ったのが、日本体育大学ボディビル部の林航大(はやし・こうだい)であった。
【フォト&ムービー】強烈なモストマスキュラーで部分賞3つ獲得したボディ
だが、2023年、2024年ともにこの大会を取材する中で、残念ながらその名を見ることはなかった。当然、学生全員が4年間ボディビル生活を貫くわけではなく、他の道を選択する場合もある。彼もそうなのか…と思い、今年のエントリーリストを確認すると、そこに林航大の名はあった。
3年の時を経て進化を遂げた彼のボディは、学生の中では一級品。前年もこの大会を賑わせた山田雄里杏(東海大4年)、小原啓太(早稲田大4年)、岡野陸(東京大3年)らと各々の武器を見せ合いながら激しいステージを繰り広げ、見事に金メダルを獲得した彼に話を聞くと、「実は、1年生のときの大会の後、筋トレができなくなってしまうほどの重い病気になってしまったんです」と教えてくれた。
「大会後の過食によって肌も荒れ、汗もかけないような状態でした。だけど、周りの人が応援してくれたり期待したりしてくれたことで、なんとか昨年9月に筋トレを再開することができました。去年のこの大会を見て、『来年は学生最後の年、絶対にもう1回出る』とモチベーションをもらい、一緒にジムで頑張り、一緒に筋トレをしてくれた友達のおかげでこのステージに戻ってくることができました。本当に周りのみんなに感謝しています」
もともと筋トレがしたくて日体大に入学したこともあり、それができないこの3年間がどれほど辛い日々だったのかは想像に難くない。大会後に涙を浮かべながら仲間や支えてくれた人々との撮影に応じている姿が、それを表している。
2週間後の9月28日には、関東以外の学生も集う「全日本学生ボディビル選手権」が行なわれる。関東王者の名とともに、腕・脚・モストマスキュラーの3つの部分賞を引っさげ、全国の相手と戦いに挑んでいく。
「いろんな仲間と出会うことができ、日体に入って本当に良かったなと思っています。あと2週間、短い時間なんですけど後悔しない過ごし方をして、今よりも良い身体で全日本に臨みたいと思います」