2015年にプロレスデビューをはたし、デビュー日と同日の今年5月31日に10周年記念興行を大成功させたのが、スターダムのなつぽいだ。ユニット『COSMIC ANGELS』に所属し、“世界最速の妖精”とも呼ばれる彼女の体つくりの秘密に迫るインタビュー、全3回の第1回は、なつぽいの基礎をつくったバトントワリングのお話を。

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幼稚園の時に出会ったバトントワリング…週3の練習がいつの間にか週8に
なつぽいは入場時にバトンを持参している。これは、幼稚園から高校までバトントワリングを習っていたからだ。
「小さい頃に『コメットさん』(アニメ版の『Cosmic Baton Girl コメットさん☆』、“Cosmic”が入っているところに縁を感じさせる)が好きで、バトンのことを初めて知ったんです。おもちゃ屋さんにもプラスチックのキラキラ光るバトンが売っていて、誕生日に買ってもらいました。でも、隣の隣に住んでいた幼馴染の親友が急にバトンを習い始めて、本物のバトンを持っていたんですよ。『私もほしいな』と母に言ったら、『ちゃんと習いなさい』と。当時(のちに通うことになる)小学校の体育館で練習しているクラブチームがあったので、通い始めました。最初は週3の練習だったんですが、いつの頃か週8になっていまして(笑)。土曜日は練習が2回あって、朝9時から12時までバレエのレッスンをして、車で移動中におにぎりを食べながら違う体育館に移動して、午後1時から5時までバトンのトレーニングという生活を高校3年生まで続けました。当時はアイドルとしての活動もあったんですが、練習を休みたくなかったので、バトンが休みの日にイベントや撮影に行くようにしていました」
毎日の練習によって基礎を叩き込まれた学生時代

多忙を極めたなつぽいの学生時代だが、具体的にはどのような練習をしていたのだろうか。
「体育館の中で走って、柔軟や足上げして、腹筋・背筋・腕立てをやってからようやくバトンに触れる感じですね。ルーティーンなので毎日です。プロレスで使う筋肉とは違う部分もありますが、基礎はここで叩き込まれた感じです。肩回りや背中を褒めていただくことが多いんですが、バトンの影響だと思います。(手をくるくる回して)この動きは筋肉がつくんですよ、バトンを投げて受け取るという動作もありますし。体幹や姿勢も含めて、バトンの経験がベースになっていますね。バトンってじつは両端についているボールドチップの大きさが違うので、バランスをとるためには技によって少しずつ持つ場所も違うんです。アクロバティックな動きも多いですし、回すと遠心力で振られるので、コントロールするためには重心をずらしながら練習して習得していく必要があるんです」
じつはなつぽいは中学生の時に、バトンの練習で大きなけがをしたことがあるという。
「親指と人差し指の間を切ったことがあります。バトンを投げてキャッチするときに、技に必死でバトンの動きを見ていなかったら、目の前にバトンが来ていて“迎えにいってしまった”んです。最初は気づかなくて“ニュル”っとしたので何だろうと思ったら、パカーンと皮膚が裂けていて中の肉が見えているくらいだったんで…バトンも血まみれですよ。結局3針縫ったんですが、麻酔を使うとお金がかかってしまって親に迷惑がかかると思って麻酔なしで縫いました」
学生時代から人並外れた根性を持っていたなつぽいは、全国大会の常連でもあったのだが、バトンは高校時代までと決めていたという。
「バトンの先生になるか、もっとがんばって結果を出して『シルクドソレイユ』のような劇団に行くか…でも私は芸能の道に進みたいという夢もあって、私がワクワクする未来は芸能だったんです。そして舞台に出るようになって、すぐにプロレスに出会いました」
(#2に続く)