五味原領(ごみはら・れい/27)が、JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)におけるクラシックフィジークという競技において、日本国内で負けたのは2022年の第2回大会のオーバーオール審査で喜納穂高に屈したときのみ。その他は完勝、敵なしという状態が続いている。
9月21日に兵庫・神戸芸術劇場で開催された第5回日本クラシックフィジーク選手権でもその強さは盤石で、クラス別、オーバーオール審査ともにパーフェクトスコアで優勝。3連覇となった。本人も「自分の中では、コンディション良く臨めた大会でした」と話すようにステージ上ではいっさいの隙がなく、誰が見ても納得のチャンピオンである。
「今年は、脚が多少は良くなったのかなという感覚があります。もともとフロントが弱くてそこがネックになっていたんですが、サイドもバックも含めて全体的に、質感と筋肉量を高められたのかなと思っています」
ステージ上では、表彰式以外はキリっとした表情を崩すことなく凛とした姿で立ち続け、無敵のオーラを感じさせる。もっとも、今年から開設した自身のYouTubeチャンネルにおいて、「怪我なく大会を迎えたことは、正直、ほとんどない。思うような健康状態で出場できた試しはありません」と語っており、実際に10月に出場を予定していたジュラシックカップ2025への欠場を、動画内で表明している。
だからこそ、と言うべきか。そのボディ以上に、メンタル面の安定性こそ、彼がチャンピオンであり続けられる所以ではないだろうか。“これだけ連覇が続くと、プレッシャーを感じることはないか?”と問うてみた。
「不安になることもあります。けど、なるべく自分軸で考えるようにして。自分の中で何か1つでも、毎年成長を重ねていければいいのかなと。周りの選手もどんどんインフレするようにレベルが上がっていることを実感しているので、他の選手と一緒に成長していけるかなと思って日々取り組んでいます」
2023年春に単独インタビューを行なった際には、「引退を考えていた」と話していた。だがそこからボディビルの楽しさを思い出したことで大会出場を継続し、今に至っている。結果を強烈に意識しながら取り組むのも1つの正解なら、彼のように、ボディビルを楽しみながら“成長”を重ね、競技としての結果はその後に付いてくるものとして取り組むのも1つの正解なのだろう。
「次は、11月末のサウジアラビアで行われる世界選手権の予定です。少し時間があるので、1つでも何か成長した部分をつくって臨みたいと思います」