世界で戦う5児の母・山田よう子、全日本アームV8の舞台裏 逆境の中でつかんだ4冠




「第42回JAWA全日本アームレスリング選手権大会」が茨城・クラフトシビックホール⼟浦⼤ホールで行われた(9月28日)。52キロ級で左右優勝をはたし8連覇達成、椅子に座ったまま行なうシッティングアームレスリングフリーの部でも左右優勝を飾ったのが山田よう子さんだ。彼女はこの大会でV8かつ、4冠という圧巻の結果を残した。

【写真】剛腕女王・山田さんの試合フォト

試合当日、山田さんは朝から体のメンテナンスをしていたが、不安はあったという。聞くと今年は2か月前に仲がいいアメリカのアームレスラーと1時間練習をして、あとは一切実戦をしていなかったそうだ。

「不安な面もありますけど、最近アームでは出なかったアドレナリンがいつもより少し強いので私的にはOKです!負けても自分がいけないし、逆に優勝したら私がすごいのではなく、日本全体の練習量が少ないんじゃないかな?と思いますし」と話す山田さんは、十分な練習が詰めなかったというマイナス要素もプラスに転換していた。

会場への到着は必要以上に遅れていた。最寄り駅に着いた時には試合が始まっており、急いでタクシーに乗り子どもたちとトレーナー、付き人と会場へ向かった。ついた時には会場は大賑わいで、自身の試合も目前だった。山田さんの出場にあたり、元格闘家で現在は茨城県龍ケ崎市議会議員を務める桜井マッハ速人さんも応援に駆けつけた。

茨城県土浦市パワーリフティング協会で会長を務める、目黒英一土浦市議会議員(左)、桜井マッハ速人さん(中央)とスリーショット

1分後には呼び出しのコールが始まりバタバタな試合のスタートとなった。しかし、山田さんの表情と気合いは昨年とは違い、目つきまでも違った。シッティングの無差別、52kg級の一般の部にエントリーした山田さん。シッティングアームは無差別なため、1試合目から大きな選手と当たり、次々と倒して決勝戦へ進出。ダブル出場していた一般の部でも左右ともに無敗で決勝行きを決めた。

シッティングの試合にも出場

しかし、トレーナーのもとに行き一言「痛い」と言って腕を見せた山田さん。その腕にはアザができており、トレーナーは「やっちゃったね…部分断裂だね」と状態を伝えた。握るのも痛いほどの痛みが走り、山田さんは「上腕二頭筋は10年以上前に断裂してから調子おかしくて、くっついてからは放置していたから、筋肉としての状態は半分くらいでパサパサな感じなので…」とコメント。「いつ何がおきてもおかしくなかったので、自分自身も驚きはないけど、今か…って感じですね」と正直な思いを語った。

しかし、そこからポジティブな解釈でメンタルを持ち直すのが彼女の強みだ。「すべては乗り越えられるから、ハプニングが起こる度に魂が強くなるんですよ!」と持ち前の笑顔で言い放った。

そして、シッティングで左右優勝。52kg級でも左右優勝を飾った。山田さんは「うれしいと言うより、『終わった…』という感じです。支えてくれた周囲には本当に感謝してます!」と語った。

賞状、メダルを手に喜びを分かち合う山田さん

山田さんはこれで、来年日本で行われる世界大会の切符を手に入れた。今後について聞くと「一刻も早くトレーニングを開始したいのですが、まずは子どもたちときちんと向き合いつつ時間をつくり、その間にトレーニングをしていきます。来年はいろいろと最後だと思います。いろいろな展開と今まで私をどんな時でもサポートをしてくれた方々に、恩返しできる行動をしていきたいと思います。楽しみにしていてください!」と思いを語ってくれた。今後も彼女の動向に注目だ。

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