10月18日-19日の2日間にわたり、世界最大規模のフルコンタクト空手団体・新極真会が主催する「第57回全日本空手道選手権大会」が東京体育館で開催される。この大会は、体重無差別で頂点を決する国内最高峰の舞台だ。1969年に第1回大会が開催されて以降、半世紀以上にわたって激闘が繰り広げられてきた。海外勢の参戦もあり、ハイレベルなメンバーが揃った今大会の組手女子部門において、ぶっちぎりの優勝候補に挙げられているのが20歳の鈴木未紘選手だ。
新極真会の厚木・赤羽支部に所属し、第8回世界大会チャンピオン・鈴木国博支部長を父に持つ彼女の大会実績には、「優勝」の2文字がズラリと並んでいる。2022年12月の「第54回全日本空手道選手権大会」の優勝を皮切りに7大会連続で優勝を続け、3年間負けがないのだから驚きだ。ワンマッチとは違い、トーナメントで行なわれるフルコンタクト空手の大会は優勝までに4~7試合を闘う必要があるため、当然ダメージの蓄積やケガもあり、連続優勝を続けるのは並大抵のことではない。
今年5月に開催された体重別世界一決定戦「第1回全世界フルコンタクト空手道選手権大会」の女子重量級に出場した鈴木選手は、決勝までの4試合すべてをフルマークの本戦5-0で完勝し、主要4大会を完全制覇するグランドスラムを史上最年少の19歳で達成した。それでも「もう一度すべてのタイトルを獲って、グランドスラム2周目を目指したい」と前人未到の領域を目指している。
当然、他の全選手から徹底マークされる鈴木選手だが、「それがうれしいんですよ。モチベーションになっています。動画を観て研究されると思うんですけど、私もそれ以上に研究して勝っていきたい」と腕を撫している。1年前から通い始めたパーソナルトレーニングの成果もあり、体格で大きく上回る外国人選手をもフィジカルで圧倒するなど、他の追随を許さぬ鈴木選手。「ボクシングの井上尚弥選手のように、負ける姿が想像できないところまでいきたい」と語る無敵の怪物女王が、大会3連覇を達成するのか。それとも他の選手が意地を見せ、地殻変動を起こすのか。10月18-19日はぜひ、フルコンタクト空手最高峰の闘いにご注目いただきたい。