カテゴリーの枠を超越したデカすぎる肉体! ボディビルで輝きを増す元フィジーク王者〜久野圭一【筋肉マニアのビルダー解体筋書】




YouTubeに投稿しているボディビル解説動画が話題の筋肉マニアが、毎週一人のボディビルダーをピックアップして紹介していく連載「解体筋書」。今回は、2025年日本クラス別75kg以下級5位の久野圭一選手です。

【フォト&ムービー】フィジークから進化した久野のボディ

メンズフィジーク王者の挫折と再起

久野選手は、2019・2021年におけるオールジャパンメンズフィジークの王者です。引き締まったウエストに、長い筋腹が生み出す美しい丸みが特徴で、バランスにも優れたフィジーカーでした。

ところが、3連覇がかかった2022年オールジャパン。表彰台の頂に彼の姿はありませんでした。ボディメイクを極める者として理想的とも言える筋肉の丸みを実現していましたが、他のトップ選手に比べてやや筋肉量が多く、マッスル感が出過ぎてしまったことや強すぎる大胸筋がメンズフィジークというカテゴリーにおいては不利に働いてしまったことが優勝に至らなかった原因ではないかと思います。

メンズフィジークは、ボディビルに比べて鎖骨の長さや骨盤の大きさ(ウエストのタイトさ)等、骨格的な個人差が審査に影響しやすく、久野選手もカテゴリーならではの難しさに悩みを抱えていたのかもしれません。そして、2023年。第1回ジュラシックカップの開催決定と同時に、久野選手のボディビル挑戦が発表されたのです。当時、トップ選手のカテゴリー転向は珍しく、横川尚隆選手以来のオールジャパン王者のボディビル参戦にファンは歓喜しました。

来る大会当日、久野選手はデビュー戦ながらオープン3位の成績を残しました。滑り出しは上々に見えたのの、彼はその厳しさを痛感することになります。2024年に出場したJBBFの大会では思うようなコンディションを作れず3連敗。この頃の彼は、理想と現実のギャップに苦悩し、疲弊していくように見えました。回復の兆しが見えぬまま迎えた第2回ジュラシックカップ。彼はそれまでとは見違える姿で現れたのです。不調を消し飛ばす筋肉の張り感に、苦手だった大腿部のマッスルコントロールも大幅に改善され、立ち姿、プレアクションに至るまで覇気を纏うかのような振る舞いは、かつてフィジークで無敵を誇っていた頃の久野選手が帰ってきたようでした。結果は、日本選手権ファイナリストを押し除け8位入賞。順位発表後、彼の目には涙が浮かんでいました。

今回は、久野圭一選手についてお話しさせていただきました。今年は、日本大会で度々成績を残している久野選手。来年のファイナリスト入りに期待がかかりますね。

次回は、究極の二刀流を実現するパワーリフティング元世界王者についてお話しします。お楽しみに!

【動画】筋肉マニアによるボディビル解説

【連載】筋肉マニアの解体筋書