JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)の大会の中でも、東京選手権の存在感は大きい。全国最大規模のエントリー数を誇り、ハイレベルな選手が集結する激戦区を勝ち抜くのは容易ではない。
実際、相澤隼人、白井大樹、喜納穂高、刈川啓志郎ら、近年の“ミスター東京”の多くが、その後に日本選手権のファイナリストとして名を連ねている。東京選手権は単なる地方大会ではなく、日本最高峰へと続く登竜門として機能してきた。
今年の東京選手権では、選手のレベルの高さに加え、舞台演出の面でも大きな変化が見られた。黒くした床面に照明での演出を組み合わせ、バックスクリーンも活用したステージは、選手の魅力を一段と輝かせた。この演出は“試行”として東京選手権で導入され、その後、10月の日本選手権でも同様の形が採用される形となった。
そんな激戦を制し、“ミスター東京”の称号を手にしたのが泉風雅。56人が名を連ねた男子ボディビルの部で、アウトラインの美しさと迫力あるポージングを武器に、存在感を放った。
泉は名門・早稲田大学バーベルクラブ出身。2017年の全日本学生選手権を制し、2018年には全日本ジュニア選手権でも優勝するなど、学生時代に頂点を経験している。その後は一度競技から離れたが、2023年に復帰。カムバック3年目となるシーズンで、東京選手権を舞台に完全復活をはたした。泉がミスター東京を制した意味は大きく、もう一度日本トップランカーを目指す足掛かりとなっただろう。
選手にとってシーズン中盤に迎える勝負所であり、全国最大規模のエントリー数を誇る激戦区。今年の東京選手権は、その価値をあらためて示す大会となった。

