学生ボディビル、通称「学ボ」。2018年に「ボディビルのかけ声辞典」なる書籍も発売されるほどの盛り上がりをつくった発信源は、今も大学対抗の日本一決戦の会場にある。
【フォト&ムービー】場内が大きく湧いた学生モストマスキュラーバトル
9月28日に東京で開催された「第59回全日本学生ボディビル選手権大会」では、過去最大規模の数の大学生がエントリー。男子のボディビル、フィジーク、女子ビギナーズフィットネスを含め、どの競技においても地鳴りのような応援が飛び交った。
もっとも、件の書籍で話題になったようなユーモアに富んだ「かけ声」は、コロナ禍を経た今ではかなり少なくなってきたのが実情である。そのぶん、「オマエが一番だぞ!」「脚の力を抜くな!」「見せてやれ!」…といった、よりシンプルにステージ上の選手を後押しする「応援」の言葉がかけられるようになっており、ポーズをとる選手たちとそれを盛り上げる観客席の仲間たちの双方向のコミュニケーションが、会場全体の熱量を産み出している。
そんな熱狂のステージを制し、2025年の筋肉学生No.1に輝いたのは、名城大学3年の久野清照(くの・きよてる)であった。ここ数年は、関東・関西の選手の強さが際立っていたが、東海地区のチャンピオンが誕生したのは久々。名城大学としては初であった。粗削りながら、モストマスキュラーポーズは圧巻の一言。威圧的とも言える破壊力を持ち、4年生となる来年はさらなる進化が期待される。
ちなみに、2週間前に行われた関東大会に、歌人の俵万智さんが会場に足を運んでいたと本人がSNSで明かしたことも話題になった。彼女の甥が出場していたようで、大会の雰囲気に飲まれた俵さんは大会翌日に「おすすめされて買ってしまった…言葉の躍動感、半端ない。誹謗中傷とは真逆の世界が、ここにある。ホメてホメてホメまくる!それが選手の力になる」と、「ボディビルのかけ声辞典」を購入したとのことであった。

