チア全米3位→女子プロレスラー 美麗な立ち姿に超柔軟性、リングで放つ芦田美歩の魅力




2025年1月から東京女子プロレスの所属選手として活躍している女子プロレスラー・芦田美歩(あしだ・みふ)。さまざまなバックボーンを持つ選手たちが数多く活躍している東京女子プロレスのリングだが、芦田美歩も元々は俳優やタレントとして活動してきた。プロレスラーとしてデビューすることが出演条件の映画の仕事を受けたため、トレーニングを積んでプロレスラーになった、という極めて異例なルートでデビューしているのだが、彼女のさらなるバックボーンを掘り下げると、チアダンスにたどり着く。

【フォト】チアを活かしたパフォーマンスを見せる芦田

「小学2年生のときからずっとやっていました。本当にチアひと筋だったんですよ。だからフツーの学生さんが味わうような『青春』を私はまったく経験してきていないんです。学校の授業が終わると、そのまま飛び出してチアの練習に通って、真っ暗になるまでひたすら練習に明け暮れる。中学生、高校生になるにつれて、どんどん練習時間は伸びていくので、青春を楽しむ暇なんてなかったんです」

ただ続けてきただけではなく、しっかりと実績も重ねてきた。高校生のときには海外遠征にも出て、全米大会で3位に輝いたこともある。現在、リングではチアダンスで養ったからだの柔軟さを活かした美麗なアクションを披露。高く上がる足を使っての攻撃は相手にダメージを与えるだけでなく、観客を楽しませるという意味でも見事すぎるプロのテクニックといえる。

とはいえ、チアダンスがプロレスに活かせることって、それぐらいなのでは?という疑問に芦田美歩は「そんなことはないです」と真っ向から否定する。

「なかなか伝わりにくいと思うんですけど、チアダンスの練習って、ものすごく体力が必要なんですよ。基本、体育館で練習するんですけど、夏は蒸し風呂状態になった体育館にずっと閉じ込められたような状態だし、冬はめちゃくちゃ寒い中で長時間、練習をする。だから体力がつくのはもちろんですけど、精神的にもかなり鍛えられたと思っています。プロレスをはじめたばかりのころは練習が嫌で嫌で仕方なかったですけど、それでも続けてこられたのはチアダンスで鍛えた体力と精神力があったからじゃないですかね? 小学生のころから積み重ねてきたものって、やっぱり大きいですよ」

安定した体幹や驚異の柔軟性だけでなく、チアダンスの経験からか、リングでの立ち姿がとにかく美しい。これもプロとしては大事な武器だが、そこにはさらなるバックボーンが存在していた。

「じつは日本舞踊もやっているんです。プロレスもチアダンスも『動』ですけど、日本舞踊は完全に『静』。まったく正反対のことを両方やっていることが、ちょっとした動きにも活かされていると思います。こんな経験をしてきているプロレスラー、私ぐらいしかいないと思うので唯一無二の個性になればいいですね」

役者としての夢は『和装で大河ドラマに出演すること』。その目標を胸に日本舞踊も続けているし、和服の着付けもお手の物だという。その夢は「いつか叶えばいいな」というふんわりしたものではあったが、一転、プロレスラーとしての目標はもっと短いスパンで考えてきた。そのことが彼女を苦しめる一因となっていた。(続く)