11月3日、東京都足立区の住宅街に佇むベルクスモール足立花畑内のフィットネスクラブ・ベルクス スポーツクラブにて、ボディビルダー・合戸孝二のトレーニングセミナーが開催された。会場には、ジム会員を中心に約40人のトレーナー・トレーニーが集まり、“狂気の男”と称されるボディビルダーの話に耳を傾けた。
第一部は、「衰えを知らない肉体秘話」と銘打たれた座学のセッションを実施。
「食事はそんなに量も食べずに1日2回で1,000キロカロリーいかないくらい。体重1キロに対して3,4グラムのタンパク質をプロテインから計算して摂っています。ほとんどサプリメントでできている体と言っていいですね。現在57歳、年齢的にも消化吸収など問題もあって、食事からだと計算できないところがありますから」と、食事面の話からスタート。
「昔は今に比べて情報も少ないから探り探りで。タンパク質を摂るために卵10個とか食べて、急性胃炎になったりということがよくあった」と若い頃の苦労話も披露した。
さらに57歳となった今でも現役を続けられる点については「ケアの大切さ」を力説。
「トレーニングで筋肉を痛めることはないので、痛みの原因はたいてい、重い物を持ち上げることで蓄積された関節、骨のズレなんです。だから正常な位置に戻してあげれば、痛みは引くんですよ。長年やっているので、痛みが出ると『骨のズレの痛みだな』とわかるので、すぐに整体の先生ところに行って治してもらう。木槌で叩いてもらうんですよ」
多くの参加者が気になるトレーニング面の話になると、質問が次々に飛び交うほど白熱した。
「筋肥大を目指すのであれば、一番重さを扱えて、“効く”種目をメインにやることが大切。例えば、背中をやるにしても、最初にデッドリフトで200とかキロ300キロとかやって追い込んでいけば、そのあとのロープーリーは100キロでも最初から効いてくる」
「持ち上げられる重さは、人間なんだからどこかで限界がきて止まるわけですよね。筋肉の前に関節が持たない場合もあるので。自分の場合、ベンチプレスは180キロで止まりました。でもそれ以上の負荷を与えるにはどうするか?を考えるわけです。例えば自分は、背中にパッドを置いてもっと筋肉にストレッチ感を出すようにしました。そうすれば体感では190キロになる」と自らの手法を例に出しアドバイスを送った。
トレーニング面のみならず、参加者から「オフの日は何をしてるんですか?趣味とか……」とプライベートな質問が飛んだが、「腹筋をやってます。500回」と答え、その“狂気”っぷりに会場が笑いに包まれる一幕も。その他、カーボアップなど大会前後、当日の臨み方、神経障害を患った過去などに話は及び、約1時間の座学セッションは終了した。
第二部は、ウエイトトレーニングエリアに移動して実技セッションを実施。
デッドリフト、ベンチプレス、サイドレイズなどダンベルを使ったトレーニングについて、ベルクス スポーツクラブ支配人の枦山猛らをモデルにして“効かせる”方法を説明。
さらに、実際に参加者が実践しアドバイスを送るなど、充実の時間はあっという間に過ぎていった。体験した参加者も「たった10回やっただけなのに、“効かせ方”が変えるだけでこんなにキツくなるなんて」と驚きの声を上げた。
★第二部 実技セッションの模様は後日動画にて公開予定!
セッション終了後にはサイン会を開催し、約2時間におよんだセミナーは終了。参加者の中には著書『執念 覚悟に潜む狂気』(ベースボール・マガジン社)を片手に熱視線を送る人も多数おり、ボディビルのレジェンドとのコミュニケーションも楽しめる貴重な時間となった。
ボディビルは10月にシーズンを終え、今回のように各選手がセミナーなどを開催する機会も多い。「自分のトレーニングはこれで正しいのだろうか?」「もっと効果的な方法はないのか」と悩みのあるトレーニーの方々、ぜひトップレベルの選手たちのトレーニング方法はもちろん、彼らの持つ強い精神力、そして生き様を学び、取り入れてみるのはいかがだろうか。
取材・撮影/木村雄大
取材協力/ベルクス スポーツクラブ
合戸孝二(ごうど・こうじ)
1961年4月1日、静岡県出身。現在50歳を過ぎてもなお、戦い続けるボディビル界のレジェンド。2005、07~09年日本選手権優勝、11年アジア選手権(70kg以下級)優勝などの実績を持つ。著書に『執念 覚悟に潜む狂気』(ベースボール・マガジン社)。