5児の母が50歳で世界一に挑む アームレスリング界のレジェンド・山田よう子、最後の世界大会へ




5人の子どもを育てながら、アームレスリング界のトップ戦線を走る山田よう子さん(50歳)。アームレスリング歴は28年、芸歴は40年を数える。真言宗・池口恵観大阿闍梨のもとで修行し、格闘技ではエンセン井上さんのピュアブレッドに所属している。

【写真】山田よう子さんの秘蔵フォト集

彼女は9月24日~27日、クラフトシビックホール土浦で行なわれる『IFA世界アームレスリング選手権日本大会』に出場する。そして、今大会を最後に世界大会への出場に区切りをつけるという。

ただし、アームレスリングそのものから現役を退くわけではない。今後も国内大会には出場し、競技への挑戦を続けていく予定だ。

「引退」という言葉を口にすること自体、すべての格闘技において嫌だったという山田さん。事実、MMAについても引退表明はしていない。

「今までは大好きなことに対して引退発表をしてしまったら、戻れない怖さがありました」

そんな彼女が世界大会から退くことを決めた背景には、5人の子育てと競技の両立に加え、ケガや体の不調もあった。体については病気による不調も抱えているという。

元来、何事も中途半端にできない性格だ。子育てについても、こう胸の内を明かす。

「今、反抗期なのかわからないですが、思うようにいかなくなりまして。今まで試合前は寂しい思いをさせてきたからこそ、これからはもっと愛を注いで、子どものサポートをしたいです」

他にやりたいことが見つかったことも、区切りをつける理由のひとつだという。

「世界大会となると、中途半端なメンタルやモチベーションで勝てる世界ではありません。子育てとの両立やケガ、体の不調もあって、気持ちを昔のように持っていくことや、十分な練習をすることが難しくなりました。

この世界には今後もお仕事で関わっていけたらと思っていますし、全日本大会にはこれからも挑戦します。ただ、世界大会への挑戦は9月を最後にします」

決心を口にした山田さんは、続けてこれまでの競技人生を振り返った。

遠藤会長との一枚

「アームレスリングに出会い、遠藤光男会長に出会い、父親のように私を可愛がってくださりました。シュートボクシングのデビュー戦の時、コーナーにいらっしゃる会長がニコッとしてリングに送り出してくれたのを覚えています。きっと驚かせないよう、事前に伝えていなかったんだと思います。

その中で私は反則をしてしまいました。その試合はエンセン井上さんにも伝えておらず、自分で勝手に決めたものでした。若い頃は本当に、周りの方にご迷惑ばかりかけていました。でも、遠藤会長にもエンセンさんにも一度も怒られたことはなく、ずっと見守ってくださっていました。おふたりがいなかったら今の私はいない、と思うほどの恩人です。

口だけなら人は何でもいいことを言えますが、私のそばにいてくれる方は、魂から、心から信じられる方々しかいません。こんな私と今でも一緒にいてくれて、心配してくれていますから、いい意味で普通の方ではないですよね!(笑)。ある意味、本物の美しい魂を持った方しかいません(笑)。

アームレスリングは私の人生を変えてくれた競技です。そして、アームをきっかけに出会った方々に本当に感謝しています。今回は『世界をまた獲りたい!』という気持ちより、区切りの50歳ということ。そして最後の世界大会だからこそ、無差別級にエントリーしました。

自分への挑戦、そして『28年間ありがとうございました!』という感謝を込めて試合に挑みます。その気持ちがきっと結果に出ると思っているので楽しみです! ぜひみなさま、私の最後の世界大会への挑戦を見に来てください!」

世界大会への挑戦はこれが最後となるが、山田さんのアームレスラーとしての戦いが終わるわけではない。そして今、山田さん自身の挑戦とともに楽しみにしているのが、子どもたちの成長だ。

中でも12歳の息子は、特別な指導を受けていないにもかかわらず、ここ最近で急速にアームレスリングの力をつけているという。12歳にして握力は52kg。目標は「ママを倒す!」ことだ。

そんな息子に山田さんがつないだのが、アームレスリング界のレジェンドであるデボン・ララットだ。山田さんは以前からララットと連絡を取り合っており、その縁から息子にララットの連絡先を伝えたという。

デボン・ララット

「誰も教えていないのに、1週間ですごく強くなっていて、普通にやったら私も負けそうなくらいなので恐ろしいです(笑)。本人は『ママを倒す!』というのが目標みたいです。アームレスリングだけでなく、魂を鍛えたうえで、いつかエンセンさんのもとでMMAにも挑戦してほしいですね」

また、山田さんのアームレスリングを通じた交流は海外にも広がっている。8度の世界王者に輝いたサラ・バックマンともプライベートで親交があり、今年10月にはサラが東京を訪れ、山田さんと再会して一緒に練習する予定だという。

サラ・バックマン

アームレスリングを通じて生まれた世界のトップ選手とのつながりは、次の世代にも受け継がれようとしている。

大会の詳細は本人のInstagram、YouTube、オープンチャットで公開するとのこと。競技の第一線を走り続けてきた女王は、最後の世界大会でどのような闘いを見せるのか。50歳で挑む集大成の舞台に注目したい。