12月9日(日)、サッカースパイクの老舗メーカー「YASUDA」が、新商品発表およびアンバサダー就任発表会見を行なった。
YASUDAは、昭和7年、安田重春により『安田靴店』として創業した。昭和35年には日本初のゴム底サッカースパイクを開発して日本のサッカースパイク市場を独占。多くのサッカー少年、プロサッカー選手の憧れのシューズスパイクの地位を確立したものの、2002年日韓ワールドカップ開催の直前の4月30日、経営破綻で倒産。
「YASUDAのスパイクでもう一度サッカーをしたい」
安田靴店のスパイクを愛する人たちの思いとともに、2017年クラウドファンディングにより復活への歩みを開始。そして2018年、目標金額に達成し復刻版製造に成功するとともに株式会社YASUDAを創業、サッカーブランド「YASUDA」がここに復活した。奇しくも、目標金額達成日は自己破産申請を行なった4月30日のことだった。
「YASUDAには、いろんな縁とか運命を感じています」
そう話すのは、会見に登場した株式会社YASUDA代表取締役の佐藤和博氏。
「サッカー選手や、元YASUDAの関係者、また海外の方からも支援もいただいていますし、クラウドファンディング終了後から『ぜひスパイクを購入したい』という多くの声をいただき、ここまで数千件に上りました。改めて、YASUDAというブランドのパワーを感じています」
会見では2019年3月に発売するスパイクが登場。ブラック、ホワイトをベースに全6色で展開、オールカンガルーレザーを使用したアッパー部分に、ナチュラルポリウレタンの13本スタッド固定方式のモデルだ。
さらに、「再動」プロジェクトの一環として、12月27日に開幕する「第98回全国高校ラグビー大会」にパートナー企業として協賛することも発表。
「私はずっとサッカーをやっているので、『YASUDAといえばサッカー』というイメージがあったのですが、ラグビーをやっている人にとっては『YASUDAといえばラグビー』だという声が多く寄せられていました。フットボールファンにこれだけ愛されているのだから、両方をともに展開していこうと思います」
また今後は、スパイクのみならずフットサルシューズやスニーカー、あるいはアパレルなど、幅広い分野へと展開していくことも発表した。
続いて、YASUDAブランドを広くPRしていくアンバサダーとして、リオデジャネイロオリンピック日本代表監督であり、来シーズンよりV・ファーレン長崎監督に就任が決定した手倉森誠氏が登場。
「自分は高校時代からずっとYASUDAのスパイクを履いていました。(6月の)ワールドカップ期間中にYASUDAの復活とアンバサダーのお話をいただき、帰国して佐藤さんに会ったときに復刻したスパイクを見せてもらったんです。ただ当時のものが復刻するのではなく、現代に合った形で進化してるなって。その進化を見て自信を持てる商品だと思ったので、引き受けることにしました」
五戸高校(青森)所属時には全国大会ベスト8経験を持つ手倉森氏は、YASUDAにまつわる当時のエピソードがあったという。
「昔、高校サッカー選手権に出場したとき、1回戦はちょっと浮気して他社のスパイクを履いたんです。そうしたら点を取れなくて。2回戦からYASUDAを履くようにしたらまた点を取れるようになったんですよ」
さらに、ダジャレ好きと知られる手倉森氏からこんな言葉が。
「ワールドカップが終わったあと、しばらく仕事を“やすんだ”んです。そんなときに“やすだ”から連絡をいただいて。今回、長崎で監督として再動するタイミングでYASUDAも再動するとのことで、いろんなものがYASUDAとともに始まるんだと感じています」
YASUDAに対する強い思い入れとともに、今後は広くアピールしていくという決意を語った。
「僕自身はYASUDAのスパイクとともにサッカー界に足を踏み入れることができました。子どもたちにも、YASUDAはその可能性を広めてくれるよと伝えたいですね。このスパイクを履いて、サッカー選手、そして日本代表を目指してもらいたいと思います」
なお、会見の最後には、手倉森氏と縁のあるサッカー選手たち(?)が登場し、アンバサダー就任を盛大にお祝い。
「このメンバーは、“YASUDA大サーカス”です」という手倉森氏の言葉で会場を笑いで包み込み、会見を締めくくった。
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取材・文・撮影/木村雄大