前回、フランスのスポーツ新聞« L’ÉQUIPE »のウェブ版に掲載の記事、「スポーツと喘息/スポーツとアレルギー:両立可能か不可能か?」から、喘息に関する部分を紹介した。今回は、同じ記事に引用される、専門医ソフィー・シルクレ=グリウーの言葉の中から、スポーツと食物性アレルギーについての関する部分を見て行こう。
「身体を動かすことによって悪化する、非常に特異な形態の食物性アレルギーがあることに注目して頂きたいと思います。稀なのですが、激烈なものです。運動によって誘発される、小麦に対するアナフィラキシーで、小麦たんぱくアレルギーのことです」
スポーツによって悪化する食物性アレルギー
小麦は私たちにとても身近な食物だ。それが大きなアレルギーの引き金となるのだから、アレルギーの抗体を持つ人は十分に気を付けるべきだろう。小麦アレルギーは症状が重くなる場合もあるため、意外にも制約が多いのだ。
「よくある例を挙げるとパスタですが、小麦たんぱくと身体を動かすことが結び付くと、アレルギー性ショックに至る可能性もある、重いアレルギーを引き起こしかねません。アレルギー専門医による、皮膚と血液の検査が必要です。このアレルギーが認められる場合、運動3~4時間前に小麦を食べてはいけません。身体を動かすというのは、ディスコで踊るとか、早歩きをするとか、そういうことも含まれます……。」
症状としては、蕁麻疹、呼吸困難、むくみ、痒みなどあるという。
「このアレルギーを持つのは、フランスの人口の1%以下に過ぎません。この重い食物性アレルギーを持つ場合、ペン型のアドレナリン注射器を含む、緊急用キットを常に携行しなければなりません。アナフィラキシーショックは、血圧が下がり、不快感を引き起こし、心停止さえも生じさせかねない、アレルギーの最も深刻な形なのです。」
小麦たんぱくと身体活動の組み合わせに、アレルギーを重篤化させる可能性があることは、稀であるとはいえ、記憶しておきたい。競技前のエネルギー補給として、パスタを食べる人も多いだろう。心当たりや不安がある場合、専門医によるアレルギー検査の受診をお勧めしたい。
(出典)
Julien GIOVANELLA «Sport et asthme / Sport et allergies: compatibles ou incompatibles ?» L’ÉQUIPEウェブ版2017年5月2日20:00
https://www.lequipe.fr/Ilosport/Conseils/Actualites/Sport-et-allergies-merci-la-pluie/741668
文/木村卓二