現在、日本のパーソナルトレーナーは、物すごい勢いで増加中です。それだけ人々の健康やトレーニングに対する熱が高まっているという証拠でしょう。このコーナーでは、パーソナルトレーナーとして活躍する人物をフィーチャーして、紹介していきます。パーソナルトレーニングを始めようかと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。今回登場するのは、話題沸騰の『体幹リセットダイエット』で注目を集める佐久間健一さん。多くのモデルが彼のもとに集まる、その理由は?
自ら苦しんだ体験をもとに、トレーナーへ
――現在ではミス・インターナショナルのボディメイクをされるなどご活躍されていますが、もともとトレーナーという道へ進んだきっかけを教えてください。
佐久間 中学から7年間陸上競技をやっていたんです。体重が軽いほど優位なスポーツなので、もともと体重・体脂肪・食事内容には気を使っていました。将来は実業団入りするつもりで陸上に夢中だったので、まさか将来自分がボディメイクトレーナーになるとは、その時はまったく思っていませんでした。
――陸上を目指していたところからトレーナーへ。何か転機が?
佐久間 ダイエットの失敗で陸上に大きく支障をきたし、選手生活を終えたことです。高校の国体予選に向けて行なったダイエットで7キロの減量→その後12キロの急激なリバウンドをしてしまったんです。それから、どんなに足掻いても体重の増加を止めることができず、以降、陸上はおろか、人と会うことも食事をとることも出来ないほどの鬱状態になってしまいました。
――それをきっかけに、今の道へ。
佐久間 はい。そして、鬱状態の続く自分を奮い立たせるために始めた、スポーツジムのアルバイト先での、先輩トレーナーとの出会いが2度目の転機です。ダイエットに苦しみ、陸上の夢も絶たれて絶望の淵にいた僕に、「次はお前がそんな人たちを助ける番だな!」とその先輩が背中を押してくれたことで、僕のパーソナルトレーナーとしての人生はスタートしました。
――その後、所属されていたスポーツクラブで、23歳ながら月間指導数1位を獲得されるなど、かなり若い段階から素晴らしい実績をお持ちかと思います。トレーナーとして成功できた要因は、どこにあるとご自身で分析されますか?
佐久間 僕が皆さんにお伝えしている内容は、面白さより、流行ることより、とにかく基礎基本です。結局それが一番頭に残って一生涯失われることのない知識になると、身に沁みて感じているからです。自分自身がダイエットに苦しみぬいた経験をしてきたからこそ、
過去の自分と同じ悩みを抱えている人の気持ちがよくわかります。僕を必要としてくれる目の前の人に、真摯に向き合って悩みを解消してきた、自分の中で確信できた揺るぎない方法だけを愚直にお伝えしてきたことが、今につながっているのだと思います。
――ご自身が苦しんだ経験があったからこそ、今の成功があると。
佐久間 僕は、痩せる方法よりも、落とした体重を戻さない方法を圧倒的に大切にしています。リバウンドしない方法を身につけてもらうこと。これは体型を預かるトレーナーとして、絶対に必要な責任であり義務でもあると思っています。
世界中の体型の悩みを無くしたい
――特に女性を中心とした指導で注目を集めているかと思います。女性はダイエット、つまり体重を落とすことに意識を向けがちですが、一方で、必ずしも「痩せる=きれい・美」ではないかと思います。体重を気にしがちな女性に対しては、どのような言葉を掛けますか?
佐久間 キレイに痩せることは、正しい方向に進んで初めて叶うことです。無理をして頑張るから痩せるのではなく、きちんと痩せる仕組みを理解したうえで、結果を出して欲しいです。また、ダイエットで痩せることは目標ではなく、ダイエットに成功した自分がやりたいことを叶えるための手段です。痩せたところからが、新たなスタートラインの始まりだと捉えてほしいです。
――最近ではパーソナルトレーニングも流行っており、個々に的確なアドバイスを受けられる環境になってきました。一方で、なかなかそこに足を運べず独自の方法でやっている女性も多いかと思います。そんな方に向けて、「ここはちょっと認識が間違いがち」というところを教えてください。
佐久間 いくつかありますが、まずは「糖質カットは百害あって一利なし」ですね。糖質を半端にカットすると、糖代謝が悪くなり無駄に吸収しやすい体質になってしまうので、
「私は生涯二度と糖質は食べません!」と誓える人以外、成功は難しいと言えます。少なくとも僕には無理です。
――なるほど。ダイエット=食事を減らすと考えている方も今でも多い気がします。
佐久間 はい。なので2つ目にお伝えしたいのは、「食事回数が少ないほど痩せにくい体に」です。1日の消費カロリーの70%は基礎代謝です。基礎代謝の約半分は消化吸収活動。つまり、食べる機会が多いほど、消費カロリーも比例して増えるのです。1日2食や、良かれと思って欠食することは、摂取カロリーとともに、消費カロリーも減らしてしまいます。
また、摂取カロリーが基礎代謝の消費カロリーを下回ると、エネルギー不足を筋肉で補おうとするため、筋肉量を減らしてしまいます。すると、結果的に基礎代謝量の低下にも繋がるため、自ら痩せ辛い体質へ変えてしまうことに。同じ食事量で、回数を最低でも1日3食、休みの日は5〜8食程に分けて食べるようにしてほしいですね。
――他にはありますか?
佐久間 「汗をかけば痩せる」は誤解ということです。汗をかくことでむくみが取れる、体が軽くなる……これらの効果はいずれも一時的なものと言えます。脂肪を減らす、基礎代謝を増やす、消化吸収をスムーズにする、体温を上げる。これら全ての媒体となるのは水。痩せやすさを身につけるためにも、体温が上がる昼過ぎ〜夕方に水分量が不足しないよう午前のうちに十分な水を摂取するよう心がけましょう。1日のうちに必要な水分は体重1キロにつき50cc。体重が60キロなら3リットルになります。
――ただ、そこまでしっかりやっても、なかなか結果が出ずに苦しんでしまう方もいるかと思います。そんな女性へ、アドバイスをいただけますか?
佐久間 はじめは順調に痩せていた方が、停滞期を迎えてしまった場合、消費カロリーがだんだんと減り摂取カロリーとイコールになってしまう現象が起きていると考えられます。筋肉は体の中で最もカロリーを必要とするので、十分にカロリー摂取をしているときは、その分、大量のカロリー消費をしますが、反してカロリーが足りない状況が続くと、筋肉自体を削ることで消費を下げようとします。こうした状況は、「筋肉の消費能力をリセットすること」で抜け出しましょう。
――それは具体的にどのようなことをすれば良いのですか?
佐久間 具体的に停滞期の筋肉に起こっている現象として、まずは「筋肉量の減少」があると思います。カロリー不足による筋肉量の減少が起こり、特に多くのカロリーを消費する「姿勢を保持するための筋肉」が減っています。そのため解決策としては、「姿勢を保持するための筋肉」を中心に刺激をし、また日常的に働くようにしましょう。
――なるほど。
佐久間 またもう一つ、「筋肉の省エネ化」が起こっている可能性があります。筋肉には速筋と遅筋があり、前者の速筋優位のときは消費が大きくなり、後者の遅筋優位のときは省エネ化する性質を持ちます。カロリー不足が続くと後者の遅筋が優位になるため、筋肉の省エネ化が起きるのです。そのため、筋トレの刺激で速筋を優位にすることで省エネ化を回避すると良いかと思います。これら2点の現象を解消すると、どれだけ長い停滞でも、1週間〜10日前後で抜け出していけます。
――素晴らしいアドバイス、ありがとうございます。最後にですが、現段階でもすでに多くの実績を残されており、いちトレーナーとしての枠を超えたご活躍をされていますが、今後の夢や野望などがあれば教えてください。
佐久間 僕は皆さんに支えられて少しずつ成長してきましたが、まだまだです。さまざまな経験や出逢いを経るほどに、「世界中の体型の悩みを無くしたい!」という気持ちを再認識します。これからも、皆さんのお役に立てる活動を続けていければと思います。
★佐久間トレーナーによる「体幹リセットダイエット」「食事のアドバイス」も公開予定!
取材・文/木村雄大
佐久間健一(さくま・けんいち)
パーソナルトレーナー。ボディメイクトレーナー。世界的なミスコンテストであるミス・インターナショナル、ミス・ワールドの日本代表をはじめ、モデルから一般時まで幅広くボディメイクを行なう。モデル体形ボディメイクスタジオ「CharmBody」の代表を務め、青山、銀座、名古屋、大阪、福井、ロサンゼルス、シンガポール、上海にパーソナルジムを展開。また、ボディメイクストアをパリ、ロンドン、ミラノ、シドニーに展開。アメリカ・コロラド州のNSCAにて運動生理学を修得。
●著書
『モデルが秘密にしたがる体幹リセットダイエット』(サンマーク出版)
『体幹リセットダイエット 究極の部分やせ』(サンマーク出版)