子どもの運動能力アップ! ゴールドキッズメソッド①基本編




全国ナンバー1の実績を誇るレスリングクラブ「ゴールドキッズ」が子どもの運動能力をアップさせるために実践している“ゴールドキッズ・メソッド”。今回のテーマは「基本トレーニングを正確に!」。

指導するのはゴールドキッズ創設以来、成國晶子代表と夫婦二人三脚でメソッドを確立してきた成國隆大トレーナーだ。さまざまな競技のアスリートをはじめ、子どもからお年寄りまであらゆる世代のトレーニング、コンディショニング、治療を行っている成國トレーナーが説くのは「正確なフォームこそが安全で、最大級の効果を生み出す」ということ。

「正確なフォームでトレーニングを行なわないと、効果が得られないばかりかケガにつながります。特に、成長期の子どもたちはきちんとトレーニングできていないとケガしやすく、ケガをしたらその後の選手生命、さらには人生そのものにとっても大きなマイナスとなりかねません。

できるだけ早く、吸収力のあるうちに、正確なフォームを身につけさせると同時に、フォームチェックを教えましょう。基本トレーニングを正確に教えるのは、早ければ早いほどいいと私は考えています。

まずは、子どもに悪いクセをつけさせないこと。保護者の方が、『昔こんなふうにやっていたから』と自己流で教えるのは禁物です。一度ついた悪いクセを直すのは大変。専門トレーナーの指導を受け、小さい頃から正確なフォームを身につけさせましょう。

基礎がしっかりしていれば、スムーズにトレーニングのバリエーションを増やし、応用に進んでいくことができます。さらに、ズレたフォームを自分でチェックし、修正できるようにもなります。

また、トレーニングでは回数が重視されがちですが、“いい加減な10回より正確な1回”のほうが明日につながることを忘れないでください。

部活などでチーム全員が丸くなり、ひとり10回ずつ掛け声をあげて全員が同じように腕立て伏せや腹筋などのトレーニングをしているシーンをよく見かけますが、あれは最悪。回数だけを重視して、正確さを欠くことになります。無理に回数をこなせば、本来鍛えるべき筋肉をつかっていなかったり、曲げ方や伸ばし方が浅くなったりして、効果が得られないばかりか、ケガに直結することも。

それぞれが自分にあった回数を正確にやる。そして、それができるようになったら、徐々に回数を増やし、負荷を上げていく。そうすれば、ムリなくトレーニングを続けることができ、ケガなく、最大の効果を得られます」

 

1.【腕立て伏せ】

両手を左右に広げ、両足は揃えて真っすぐ伸ばして、十字形になる。アゴを引き、床を見る
両手をそれぞれのヒジの下におく。指を開いて、床をつかむように
両ヒジを伸ばした状態から、腰を反らさずに、下っ腹(丹田)に力を入れて、4秒かけてゆっくり息をはきながら両ヒジを90度まで曲げていく
アゴをゆかにつけたママ、1秒間止める。2秒かけて息を吸いながら両ヒジを伸ばし、体を上げていく

★NG

腰が反り、背中が丸まった状態でヒジを曲げたり、伸ばしたりしても効果は得られない

★応用

両手の間隔を広げたり、狭めて行なえば、より広い範囲の筋肉を鍛えることができる

★初心者

うまくできない初心者は両ヒザをつけた状態から始めよう

2.【腹筋】

両足を肩幅に広げ、両ヒザを立てる。両手を頭の後ろで組む
2秒かけて息をはきながら、ヘソを見るように上半身をあげていく
4秒かけてゆっくり息を吸いながら元の状態に戻す

★応用

上体をおこすと同時にヒザを曲げたママ足を上げ、両ヒジと両ヒザ、あるいは左右反対のヒジとヒザがつくようにして1秒間止めると腹直筋、腹斜筋をさらに鍛えることができる

3.【背筋】

両手、両足を肩幅に開いて伸ばす
2秒かけて息を吐きながら、左右反対の手と足を床から上げる。1秒間止めた後、2秒かけて息を吸いながら下す。左右の手足を入れ替えて行う。腰が反らないように

★応用

両手両足を同時に上げる。スーパーマンが空を飛んでいるようなイメージで

4.【スクワット】

両足のツマ先のラインを揃え、肩幅で立つ。両手は頭の後ろで組む
2秒かけてゆっくり息を吐きながら、尻を後方に出して両ヒザを曲げていく。ヒザはツマ先の位置。太もも全面と床が平行、ふくらはぎと上半身が同じ角度になるように。その状態で1秒間止めた後、2秒かけて息を吸いながら立った状態に戻す

★NG

背中が丸まり、前傾姿勢になっている。ツマ先とヒザが同じ方向になっていない

5.【懸垂】

全身を伸ばした状態でぶら下がる。両手の親指はバーにひっかけず、しっかり握る
息を吐きながら、両ヒジを曲げる。アゴがバーにつくまででOK。息を吸いながら、元のぶら下がった状態にもどる。小さく、テンポよく繰り返す

6.【デッドリフト】

できるだけストレングスバッグに近い位置で、両足を肩幅に広げ、両ヒザを軽く曲げてストレングスバッグを持つ。下を見ず、正面を見る
2秒かけてゆっくり息を吐きながら、両ヒザが真っすぐ伸びるまでストレングスバッグを持ち上げ、1秒間止める。2秒かけて息を吸いながら、ストレングスバックを床に静かに置く

★NG

腰を痛めるので、背中は丸めない。正面を見続ける

正しいフォームで行なって、基礎体力、運動能力を高めよう!

 

取材・宮崎俊哉/撮影・伊藤翼

協力=ゴールドキッズ

 


成國隆大
柔道整復師、鍼灸師、NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト、JATI認定トレーニング上級指導者、健康体力づくり事業財団認定健康運動指導士、中央労働災害防止協会認定ヘルスケアトレーナーなどの資格を有し、プロ野球選手や柔道オリンピック代表選手らをパーソナルトレーナーとして指導するとともに、クボタラグビー部、明治大ラグビー部などのトレーナーを務め、現在は東京で南青山PICS治療院を開業。