創部50年以上を誇る東大の伝統に迫る【GKB応援団:東京大学B&W部編】




学生ボディビル、通称・学ボを盛り上げるべくスタートした連載「学ボ応援団(GKB応援団)」。今回からは、1965年創設と50年以上の歴史を誇る東京大学運動会B&W部(ボディビル&ウェイトリフティング部)が登場。伝統ある部で研鑽を積む学生たちの素顔に迫っていきます。

今年に入り、日本体育大学、帝京大学、早稲田大学と各校をまわってきたこの連載。まだ暑さは大いに残るとはいえ8月も終わり、いよいよ関東学生、そして全日本学生選手権とガクボの集大成となる大会の時期が近づいてきました。

今回登場するのは、東京大学運動会B&W部(ボディビル&ウェイトリフティング部)、通称『ビーダブ』。東京五輪のちょうど1年後となる1965年に、トレーニング体育館(トレ体)でバーベルを使ってトレーニングをしていた、駒場寮の「英語会」メンバーの吉田貴士ら有志数人が部屋替えを機に独立し、ボディビル&ウェイトリフティングサークルとして産声を上げました。

今も使用されている駒場キャンパスの「トレ体」

その1年後には学友会の部として承認され、1969年に運動会直轄の部に昇格。1973年に、いまや“筋肉博士”としてVITUP連載でもおなじみの石井直方先生が入部すると、ボディビル、パワーリフティングで数々の実績を残し、4年時の1976年には東大B&W部初の全日本学生ボディビルチャンピオンとなりました。

「当時のボディビル対する社会の評価は低く、『地下室のようなところで、ナルシストのような人々が自己満足のために行うもの』のように捉えていたように思う。(中略)東大にこのような部があることが新鮮な驚きであり、そうした『最も東大らしくない部』に所属することは、ある種の反骨精神を満たす悦びであったかもしれない。
(中略)
トレーニングそのものは決して楽しいものではなく、その結果得られるものや達成感が原動力となる。より高度な身体表象のために筋肉を100グラム増やし、皮下脂肪を1mm減らす。今より2.5kg重いバーベルを挙げられるようにする。彼方にあるこれらの目標に一歩一歩近づくために、日々努力と工夫を重ねる・・・勉強と同じである」

石井先生は「東大B&W部五十周年史」の中で、当時のことをこう述懐しています。最も東大らしくない部であり、最も東大らしい運動部である、と。

その後は部としての知名度をグングンと上げ、80年代前半から90年代初頭は黄金期に突入。81年秋からは関東学生(春)・東日本学生(秋)の両選手権で団体優勝12連覇を果たしました。その後、一時は新入部員がゼロになり公式練習に集まったのがわずか3人という危機的な“冬”の時代を経験したものの、当時の部員の懸命な努力により耐え抜き、ガクボが脚光を浴びている現在は30人を超える部員が所属しています。

50年以上の活動の中で、部員の合同練習を大切にしてきたというB&W部。現在も週3回の合同練習参加は部員の義務であり、その伝統は受け継がれているとのこと。

「うちの部は、大学に入るまではトレーニングをしてこなかったという子が多いので、週3回の合同練習でしっかりと先輩が後輩へ、特にビッグスリーのトレーニングを中心に教えていきます。合同練習で集まることで、減量やトレーニングの悩みなどを気軽に先輩に聞ける環境にあると思うので、僕たちは合同練習を大切にしています」

そう話すのは、今年度の全日本学生ボディビル連盟の理事長を務め、自身はパワーリフティングの選手として活躍する久恒歩君(4年)。6月にスウェーデンで行なわれた「IPF世界クラシックパワーリフティング選手権大会2019」にて一般男子59キロ級で3位入賞、「第46回全日本学生パワーリフティング選手権」では男子66キロ級で優勝を果たしたパワーリフターです。

学連理事長を務める久恒歩君

来週から、伝統の部の一員である立場から、そして学連理事長の立場からの思いを聞いた久恒君のインタビューのほか、ボディビルへの出場を目指す部員4名のインタビューをお届けします。

文・写真/木村雄大