12月26日、環境省22階第1会議室で「第14回日本版ナッジ・ユニット連絡会議」が開催され、『みんなで筋肉体操』でおなじみの谷本道哉先生がナッジアンバサダーに任命され、小泉進次郎環境大臣から感謝状と任命書が贈られました。
「ナッジ」という言葉は耳慣れない単語ですが、直訳すると「そっと後押しする(nudge)」という意味。環境省が考える「ナッジ」とは行動科学の知見(行動インサイト)の活用により、「人々が自分自身にとってより良い選択を自発的に取れるように手助けする政策手法」のことを言います。
人々が選択し、意思決定する環境をデザインし、それにより行動をもデザインする政策アプローチです。
例えば男性トイレの小便器の的の絵(こぼさないように)や、ゴミのポイ捨て防止の鳥居の絵、駅の階段の「ここまでで〇kcal消費」などがナッジの例としてあります。平成29年10月発表のノーベル経済学賞の受賞分野であったことから、我が国でも着目を集めています。
この「ナッジ」や「ブースト(boost:ぐっと後押しする)」を含む行動インサイトに基づく取り組みが政策として、また民間に早期に社会実装され、自立的に普及することを目標に、環境省では平成27年に府省庁初のナッジ・ユニット(ナッジPT「プラチナ」)を、また我が国全体では平成29年4月より環境省のイニシアチブの下、産学政官民連携・関係府省等連携のオールジャパンの体制による日本版ナッジ・ユニットBEST(Behavioral Sciences Team)(事務局:環境省)が発足しています。
『みんなで筋肉体操』の声がけにもナッジの要素があり、ナッジ・ユニットの活動に貢献したとのことで、谷本先生がアンバサダーに任命されるはこびとなりました。たしかに谷本先生の「キツくてもツラくない、キツくても楽しい」などの声がけには後押しされますよね。
表彰された谷本先生は小泉大臣に著書を渡してそっと後押し。2020年の新春には『筋肉体操新春版』も放映されますが、そこでは新しいパワーワードでさらにナッジすることを宣言しました。今後はアンバサダーとしての仕事も精力的に行なっていくようです。
【谷本先生コメント】
「『あと5秒しかできません』などの筋肉体操の声がけにナッジの要素があると評価いただいたのですが、最初はナッジという言葉さえ知りませんでした。たしかに筋トレに取り組む姿勢を『そっと』ではなく『強く(?)』後押しする要素はあると思います。後押しも大事ですが、実行してもらう運動自体が効果の高い優れたものでなければいけません。今回、表彰されたことで責任の重さを改めて感じています。また、こういった声がけの力が温暖化対策などの環境問題の解決につながることを期待しています……最後、アンバサダーの仕事できましたかね(笑)」