サプリメントを活用して良質な睡眠を【桑原弘樹のサプリ道】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養に関する疑問を解決する連載。第10回は、不眠症に効くサプリメントについて。

■不眠を和らげるサプリメントとは?

海外ではメラトニンを購入することができますが、日本では医薬品扱いとなっているため一般のサプリメントとしては扱えません。メラトニンは、トリプトファンからセロトニンを経てつくられるホルモンですが、不眠には効果があります。

そこまでダイレクトな効果は期待できませんが、不眠の原因を和らげる可能性がある素材はいくつかあります。

例えばテアニンです。テアニンは緑茶に含まれる成分ですが、睡眠の質を向上させる効果があり、いくつかの商品で機能性表示食品となっています。

また、メラトニンの大元の材料となるトリプトファンも、睡眠に対しては効果があります。以前にトリプトファンの製造における事故がアメリカで起きたため、長い間アメリカでは食品扱いとされていませんでしたが、逆に日本では通常の必須アミノ酸のひとつとして扱えます。事故の影響なのかはわかりませんが、トリプトファン単独のサプリメントよりも複合的に配合されているものが多いかと思います。

GABAはアミノ酸の一種ですが、γアミノ酪酸というのが正式名称となります。これは自律神経を整える効果が期待されており、交感神経優位になることで睡眠の質を落としてしまうことを防ぐようなイメージです。睡眠に限らず、日常生活でのストレスやイライラなどにも向いているサプリメントです。

他にも、味の素が力を入れているグリナというサプリメントは、睡眠の質の向上を謳っていますが、これはグリシンというアミノ酸が主成分です。味の素はアミノ酸の研究では世界レベルにありますから、グリシンからそういった睡眠改善効果を見つけ出したのでしょう。これも機能性表示食品となっていますので、効果効能を謳えています。

私が20年ほど前につくったエキストラ・アミノアシッドも、見方によっては不眠症に効くサプリメントのジャンルに入るかもしれません。これは成長ホルモンに注目して、アルギニン、リジン、オルニチンといったアミノ酸を中心に、その他にも亜鉛やマグネシウムといったミネラルやカンカといったハーブを配合しました。最近では、これに先のテアニンを配合したバージョンも登場しています。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。