【マッスルゲート福岡】武道敬士が“執念の仕上げ”でボディビルの覇者となる




「決して謙遜しているわけではなく、クラス優勝もオーバーオールも獲れるとは本当に思っていなかったので、純粋に嬉しいというのが今の気持ちですし、自分でいいのかな?という気持ちはあります。本当に素晴らしい選手が多く、『レベルが高いな』とステージに立ちながら感じていて、普段出場しているJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)主催の大会とそん色ないなと思っていました」

そう話すのは、10/18に開催された『マッスルゲート福岡』のボディビルカテゴリーで、65キロ以下級を制し、オーバーオール優勝を果たした武道敬士(ぶどう・ゆきと)だ。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でほぼすべてのJBBF主催の選手権大会が中止に。一年一年、時期を絞ってそこにすべてを懸けて調整を進める多くのボディビルダーのモチベーションに大きな影響を与える事態となり、「出場しようと思っていた大会が中止になってしまい、自暴自棄になったときもあった」と武道も例外ではなかった。

そのような中、“多くのトレーニーにご自身のトレーニングの成果を発揮して頂き、成長を感じていただけるような場を提供できれば”というゴールドジムの思いで開催が決まったのが、この『マッスルゲート』だ。数少ないリアルなステージが日本各地で開催されることとなり、普段は熊本で活動する武道も当然、その福岡大会にエントリー。

「開催が決まり、本当に感謝しました。自分は、仕上げて、絞るタイプなんですね。絞らない期間が1年空いてしまうと、来年は絞れなくなってしまうんじゃないかという不安があったので、大会に出ようと決めました」

ハイレベルな戦いとなったボディビル(写真左、156番が武道)

コロナ禍においても地元のジムでトレーニングを続けていた武道だが、いざコンテストに向けた調整となったところで、思わぬ苦難に直面。それは、日焼けだ。普段は夏場のコンテストに出場するため日光による日焼けで仕上げていたが、今回は10月の開催。日焼けマシンでの調整を余儀なくされ、「やはり外で日焼けをするのとは仕上がりの質感がまったく違うので、思っていた以上に苦戦しましたね」と話す。

しかしそれは、他のビルダーにとっても同じ条件。果たして、何がいったい勝敗を分けたのか。

「執念……かなと。誰よりも仕上げて、誰よりも絞って、ポージングもしっかりとって。基本的なことですが、その3つをなかなかできない人もいると思います。なので、誰にも負けないようにとにかくやり込んできました」

本人は「顔がガイコツ……いや死神みたい」と減量によりこけた頬を指して笑うが、鬼気迫るその仕上がりには、審査員を務めた“ミスターパーフェクト”田代誠も「あれこそが覚悟を決めたボディビルダーの仕上がり。あそこまでできる選手はそういないね」と絶賛するほど。

「来年は、まずはJBBFの日本クラシックボディビル選手権に、“マッスルゲート福岡のオーバーオール覇者”として挑戦したいと思います」

非常に穏やかながら、内に秘めたボディビルに対する熱き想いで、さらなる躍進を目指す。

文・写真/木村雄大

【大会リポート】10/18(日)開催 マッスルゲート福岡